相続した土地に隣接している水路や里道 役目を終えているものなら購入も可能

現在も機能している里道や水路などの法定外公共物については、地方分権によって国から市町村に移譲されたため、現在では市町村が所有と管理を行っています。

このため、所有地と公道の間に里道や水路がある場合に、現在も機能しているものなら、市町村の使用許可を得れば新築や建替えが可能です。

一方、市町村の管理下にあり、公共物としての機能を失っている場合は用途廃止の申請を行う方法もあり、払い下げの可能性もあります。

 

しかしながら、機能を失っている法定外公共物になかには国が管理しているものもあり、この場合は市町村への申請では解決できません。

今回のブログでは、国が管理する公共物が所有地に隣接している場合に、その土地を使用したいときはどんな手続になるかについて紹介します。

 

「旧」法定外公共物

 

2000年に施行された地方分権に関する法律によって、法定外公共物は2005年3月までに国の管理を離れ、市町村に移譲されました。

しかしながら、この移譲の対象となったものは、里道や水路などの機能が現存しているもので、しかも市町村が必要としたものでした。

このため、この時点ですでに機能を有していなかった法定外公共物は、国の管理下に置かれたままになっているのです。

すでに公共物としての役目を終えていることから、旧法定外公共物と呼ばれ、財務局や財務事務所が管理する国有地です。

ちなみに、市町村の管理となったのちに機能を失ったものは、通常であればそのまま市町村が管理しています。

 

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機能を喪失した旧法定外公共物

 

所有地に隣接する旧法定外公共物は購入可能

 

国が所有する土地のうち、普通財産に分類されているものの一部については、個人でも購入が可能です。

 

国有財産の購入

 

国有財産のうちで普通財産として分類されている土地は、特定の行政上の目的に利用されることが決まっていないもので、積極的に売却して国の収入に充てるべき財産ともされています。

ただし、誰でもすべての土地が買えるわけではありません。

 

単独利用が可能な未利用地

 

たとえば、単独で利用が可能な未利用の財産については、最低売却価格を定めたうえでの競争入札が行われます。

また、物納された土地のうち、賃借権などが設定されているものについては、権利を持っている方なら直接購入することが可能です。

 

単独では利用できない旧法定外公共物

 

機能を失っている里道や水路など旧法定外公共物のうち、単独では利用できない土地については、隣接する土地の所有者なら直接購入が可能です。

里道や水路のほか、畦畔、ため池、地番のない脱落地なども対象です。

 

つまり、所有地に隣接または所有地内に存在する旧法定外公共物を使用したい場合は、使用許可ではなく、購入手続きを検討することになります。

なお、国有地を貸付ける制度もありますが、対象者や利用できる期間、用途が定められているほか、対象となる物件はかなり限定的となっています。

 

まとめ

旧法定外公共物の購入は、土地のある地域を管轄している財務局や財務事務所が相談窓口です。

まず、市町村に法定外公共物としての機能がないことを証明してもらい、国との境界確定を行ったうえで、売買契約を締結することになります。

財務局のホームページや窓口で詳しく知ることができますが、不安な場合や時間的な余裕がない場合などは、専門家に相談してみましょう。

相続した土地に家を建てられない?公図を見たら敷地と道路の間に水路や昔の道

敷地は道路に接していなければ、家を建てることができません。

道路に接していなければ袋地で、建築基準法で定められている接道義務を満たすことができません。

袋地には通行権が認められるとはいえ、通常では徒歩など必要最小限の幅しか認められることはありません。

 

家を建てようとしたら、敷地と道路の間に昔の道や水路があることがわかり、このままだと工事ができないと言われてしまった。

農地を転用する場合などは、この例のように実際には見当たらないのに、公図上に道や水路の記載があることも珍しくありません。

このような道や水路は、法定外公共物として市町村が管理していることが一般的で、使用許可などを得ることによって解決できる可能性があります。

 

今回のブログでは、法定外公共物とは何かや使用の許可申請などについて紹介します。

 

法定外公共物とは

 

普段何気なく利用したり、お目にかかったりしている道路や用排水路、湖沼、池や沼などは公共物です。

これらの公共物も、管理の仕方で大別すると2種類に分けられます。

一つは、管理の方法などが道路法や河川法、下水道法など特別な法律によって定められている法定公共物です。

そして、もう一つは、これらの特別法の対象に該当しない、法定外公共物と呼ばれるものです。

 

法定外公共物としては、昔から生活道路などとして使われていた里道、田畑へ水を引くために掘られた水路や自然に発生した水路などがあります。

里道は、農道や山道、集落の中を結ぶ昔からの生活道路などだったもので、新道の開通や土砂崩れ、耕作放棄などに伴って、機能を失っているものもあります。

また、水路としては、灌漑用水路や農業排水路などが代表的です。

土地の境界がはっきりしないケースや流路が変わっているケース、実質的に機能を失っているケースも見受けられます。

 

所有者と管理者はだれ

 

以前は、法定外公共物の管理を国が行っていたものの、2000年の地方分権推進計画によって市町村に移譲されたため、基本的に所有者と管理者は市町村となっています。

 

どこにあるか確認する方法

 

法務局で入手できる公図や旧公図(和紙公図)を見ると、登記上の存在を確認することができます。

公図上では、「道」や「水」と記載され、登記された土地ではないため、地番がない無番地となっています。

また、公図を作成する元となっている旧公図を見ると、里道は赤、水路は青で着色されているため、容易にその存在を確認できます。

旧公図は、明治時代に和紙で作成されたもので、和紙公図とも呼ばれ、赤く塗られた里道は赤線、青で塗られた水路は青線などと呼ばれています。

 

 

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公図で見る里道や水路


現在も機能しているかどうかの確認方法

 

すでに紹介したとおり、法定外公共物のなかにも現在も機能しているものと、機能を喪失して公共の用途には用いられていないものがあります。

現在も機能しているかどうかは、隣地として接している場合の対策を考えるうえで重要です。

 

所有・管理を行っている市町村には図面が備え付けられているため、窓口に申し出れば閲覧や図面のコピー入手も可能です。

法定外公共物の有無や機能の有無などをまとめて知ることができるため、市町村での確認が最も確実です。

ただし、担当部署は市町村によって異なるため、それぞれの窓口を確認したうえで相談に行くことがおすすめです。

 

そのまま使用したい場合

 

現在も機能している法定外公共物については、その使用を申請することによって許可を受けることが可能な制度があります。

機能を確保するために構造物を設けたりして占有することは認められないものの、機能を妨げない範囲内であれば、基本的には使用が許可されることが一般的です。

それぞれの市町村ごとに、条例などによって要件や手続きなどが定められていますので、詳しくは窓口での確認が必要です。

なお、境界確定を行うことが前提のほか、区長や自治会長、水利組合や土地改良区など水利関係者、隣接地所有者、利害関係者などの同意が必要となります。

 

この許可を得ることができれば、所有地と公共道路との間に水路や里道がある場合でも、新築や建て替えが可能になります。

 

機能を失っている場合や別の場所に移し替えたい場合

 

一方、すでに法定外公共物としての機能を失っている場合は、用途廃止の申請を行う方法があります。

市町村によっては、廃止が認められた場合は払い下げを受けることができることもあります。

 

また、機能が残っている場合でも、同じ機能を保ったまま敷地内の他の場所に移動する、付替を申請する方法もあります。

付け替えた道や水路を市町村に寄付することによって、公図上の道や水路を譲り渡してもらえるケースもあります。

 

まとめ

 

所有地と公道との間に地番のない法定外公共物が存在する場合は、所有者や管理者の許可を得ることによって利用可能となることが一般的です。

法定外公共物については市町村が管理していることが一般的ですが、国や都道府県などが管理しているケースもあります。

この場合は、基本的には財務局や財務事務所が相談窓口になりますが、都道府県や国土交通省、農林水産省などが管理していることもあります。

少々手続きが面倒になるため、不安な場合や時間を割けない場合などは専門家に相談することをおすすめします。

原野化した農地を相続したが別の用途での利用や地目変更には農地転用許可が必要?

農地を農業以外の目的で使いたい場合や農地以外の地目に変更する必要がある場合は、農地法の規制により、転用手続きが必要です。

自己所有農地でも、第三者から購入や賃借によって利用する農地でも、転用手続きを経たうえでないと農業以外の目的に供することができません。

 

しなしながら、以前は農地であっても、長い間耕作せずに放置されていれば、山林化や原野化することもあります。

また、はるか昔から住宅の敷地と利用してきた農地を、いまさら農地扱いすることは現実的ではないとも思えます。

では、このような場所に架線や砂防施設などを整備したいときや現況地目に合わせて宅地に変更したいときなども転用許可がいるのでしょうか。

実は、農地に該当しないと判断されると、農地法の規制を受けることがなくなるのです。

 

今回のブログでは、農地として復元して利用することができなくなってしまった土地を、非農地と判定してもらえる制度を紹介します。

 

農地をほかの用途に利用したいときの手続き

 

農地を転用したい場合は農地法の規制があるため、一定の要件をクリアする必要があるとともに、申請に様々な添付書類が必要になります。

 

自己所有の農地であれば農地法第4条許可申請、転用する目的で第三者から購入や賃借して利用する農地であれば農地法第5条許可申請が必要です。

 

ただし、原則として、いわゆる青地や甲種農地、第1種農地など農業での利用が優先される地域においては、転用許可を受けることは困難です。

 

農地とは?

 

農地法の規制を受けるのは、農地だけです。

登記上も現況も、地目が宅地や雑種地などに分類されている土地なら、農地法の規制を受けることはありません。

では、農地とはどのような土地を指すのでしょうか。

 

農地法では、農地は耕作を目的とする土地を指しています。

ここで耕作とは、労働と資本を投入して肥培管理を行って、作物を栽培することを意味しています。

つまり、耕して播種し、肥料や水分を調整し、農薬や除草など作物の生長を促す作業を行う土地が農地ということになります。

また、農地法の規制を受ける農地には、畜産業のための採草放牧地のほか、容易に復元して耕作できるような耕作放棄地も含まれます。

 

農地であるかどうかは、登記上の地目ではなく、実際に耕作や採草、放牧用に利用されているかどうかによって判断されます。

このため、登記上の地目が山林や原野など農地以外の土地であっても、現況が農地や採草放牧地として利用されていれば、転用には許可が必要になります。

 

農地法の規制を受ける農地ではないことの証明

 

農地は農地法の規制を受けるのに対し、現況が農地と判断されなければ、基本的に農地法の規制を受けないことになります。

 

相続や贈与で取得しても、長期間耕作されないまま放置されて山林化や原野化している農地では、利用価値が低く負担だけを重く感じる方も少なくありません。

また、先々代の時代から宅地として利用しているにもかかわらず、農地として登記されている場合は、売買や賃借にも不都合です。

このような農地のうち、一定の要件を満たす土地については「非農地」と判定してもらえる制度があります。

この制度によって非農地と判断された場合は「非農地証明」が発行され、他の地目への変更登記を行う際に、転用許可証と同様の証明力があります。

 

この制度は、市区町村ごとに設置されている農業委員会が、いわばサービスとして行っているもので、証明書は農業委員会長名で発行されます。

このため、全国一律の要件となっているわけではないものの、一般的には次のいずれかに該当する農地は非農地として判定される傾向にあります。

ただし、農地への復旧が困難で、農用地確保など農業政策の展開に支障がないことが前提になります。

 

・農地法が適用された1952(昭和27)年以前から非農地

・自然災害による災害地で、農地への復旧が困難と判断される土地

・青地以外で、原則として20年以上放置されて将来的にも農地として使用するのが困難な土地

 

手続きは、農地が所在する農業委員会に申請することになりますが、非農地となっている期間を証明する公的な書類を添付しなければなりません。

たとえば、建物の登記簿謄本や課税証明、20年以上耕作していない場合は航空写真などを添付します。

登記簿には登記の日付が記され、固定資産税は現況地目に応じて課されるため、このような書類があれば確実でしょう。

 

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長年放置されたままの農地

まとめ

 

非農地化した農地を利用したい場合には、この制度が転用許可に代わる機能を果たす可能性があります。

ただし、現在は非農地化している土地でも、無断転用や植林など人為的に非農地となっているものは発行の対象になりません。

また、市区町村によって農業施策などの考え方が異なるため、非農地証明の判断が異なる傾向にあります。

該当しそうな農地を相続などによって取得した場合は、該当する市区町村の農業委員会で確認されることをおすすめします。

土地の所有権を放棄できる法律が成立!相続した田舎の土地を手放せる?

所有者がわからないまま売買や利用もできない土地が急激に増え、社会的な問題となっています。

隣地がそのような土地であれば、工事での立ち入りや配管なども承諾が得られず、建物の老朽化や草木の繁茂など迷惑を被ることにもつながります。

 

以前のブログ「相続した不動産の相続登記が義務化される?所有権放棄なども検討中」では、この問題解決のための検討状況について紹介しました。

今回のブログは、一連の見直しの結果、2021年4月21日に成立した所有者不明土地関連の法律の概要を紹介します。

その中でも特に、所有権を放棄できる法律について焦点を当て、相続した不要な土地を手放せるようになるかを検証します。

 

制度を変える背景

 

国土交通省が行った2017年の調査によれば、土地全体に占める所有者が不明な土地の割合は、全国で22%にも上っています。

不動産登記簿には所有者の氏名と住所が記録されているため、本来なら登記簿から所有者を探し当てることができる仕組みとなっています。

しかしながら、相続登記がなされていないことや住所が変わっても登記簿の住所を変更していないことが原因で、所有者に連絡をとれなくなっているのです。

全国で22%もある不明土地のうち、なんと66%が相続登記の未了が原因で、残りの34%が住所変更登記の未了が原因です。

 

所有者が亡くなっていれば戸籍をたどる必要があるものの、時間が経てば相続人の数が膨大になることも珍しくなく、全員に連絡を取ることは容易ではありません。

それに、戸籍はだれでも入手できるわけではありません。

また、所有者が転居などによって記録された住所に住んでいない場合も、住民票や戸籍の附表を入手できなければ、その先を調べようがないのです。

 

このような状況が生まれる背景としては、相続登記が義務ではないことが大きな要因の一つであるとして、制度を変える検討が進められてきました。

わざわざ登記しなくても相続人に不都合はなく、土地に対する執着も薄れてきているため、先祖が残した土地を相続するという意識も希薄化しつつあるようです。

このまま放置すれば、相続されないまま取り残された土地がねずみ算式に増え、今後ますます深刻化する懸念から制度改正に至ったというわけです。

 

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相続した田舎の不動産は維持管理が課題

 

新しい制度のあらまし

 

2021年4月21日には「民法等の一部を改正する法律」と「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が成立し、同28日に公布されました。

二つの法律は、所有者不明土地の発生予防と利用円滑化の2つの面から、民事基本法制を総合的に見直すものとなっています。

 

一つ目の発生予防の観点からは不動産登記法が改正され、現行では任意の相続登記や住所などの変更登記の申請が義務化されます。

ただし、このような手続きについては簡素化や合理化する方策がパッケージで盛り込まれます。

また、このブログのテーマである所有権の放棄についても新たな制度が定められます。

相続などによって土地の所有権を取得した方は、法務大臣の承認が得られれば土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度です。

詳しくは後段で紹介します。

 

二つ目の利用円滑化の観点からは、所有者が不明な土地の管理制度を新設するとともに、共有者が不明な場合にも共有地を利用しやすい仕組みが整備されます。

また、相続開始から10年が経過した後の遺産分割については、画一的な法定相続分で簡明に行うことができる仕組みが新たに整備されることになります。

また、隣地を通過してライフラインを引き込む場合については、所有者が不明な状態でも対応できる仕組みが整備されます。

 

所有者不明土地の発生を予防する相続土地国庫帰属法

 

土地を相続することを望まない方が増えていることなどを背景として、相続した土地を手放したいと考えている方が増えています。

望まない土地を相続した方にしてみれば、所有者としての負担感だけが大きくなってしまうことが背景にあります。

このため、相続または相続人に対する遺贈に限定して、取得した土地を国に帰属させることを可能とする制度が新たに作られました。

 

しかしながら、管理コストを国に転嫁させるためや土地の管理をおろそかにするといったモラルハザードの発生が問題になります。

これを防止するため、手放すことができる要件を定め、法務大臣が妥当かどうかを審査する仕組みが作られることになっています。

また、費用として、審査手数料と10年分の土地管理費用を納めなければなりません。

10年分の土地管理費用としては、原野で約20万円、市街地の宅地200平方メートルで約80万円が想定されています。

 

つまり、この新たな制度では、手放すことができる土地に該当するかを法務大臣が審査し、承認されて費用を払えば所有権を国に渡すことができることになるのです。

 

手放すことできる土地の要件

 

土地の要件や費用の詳細については、政省令で規定するとされているものの、まだ具体的に示されるには至っていない段階です。

 

現在決まっている土地の一般的な要件について、例示されているものを列挙してみましょう。

・建物や通常の管理または処分を阻害する工作物などがない

・土壌汚染や埋設物がない

・崖地ではない

・権利関係に争いがない

・担保権などが設定されていない

・通路など他人によって使用されていない

なお、共有地の場合、共有者全員で申請する必要があるとされています。

 

これらの要件は、一般論ですが、容易に売買や賃借などの対象になりそうな条件ばかりが列挙されているようにも思われます。

つまり、買い手や借り手が容易に見つかるような土地であれば、手放したいと思うことも少ないでしょう。

また、老朽化した空き家が現存していれば除却して更地にしなければならないことも想定されます。

したがって、現在示されている土地の要件だけから考えると、不要な土地を手放すという観点からはハードルが高そうです。

 

まとめ

 

新たな法律の施行日は、公布から2年以内に政令で定めるとされています。

また、相続登記を義務化する改正については公布後3年以内、住所変更登記を義務化する改正については、5年以内に政令で定めるとされています。

ただし、現在のところ政令は定められていないため、実際の施行がいつになるか決まっているわけではありません。

このため、制度の利用を検討したい場合は、今後の政令による具体化を見守る必要があります。

詳しく知りたい方は、法務省のホームページでご確認ください。

相続した田畑の価値は?

相続や贈与によって田畑を取得することになると、どれほどの価値があるのか想像しにくいため、相続税や贈与税を心配する声が多く聞かれます。

宅地なら、路線価や固定資産税評価額をもとに評価することをご存じの方も多いことでしょう。

また、全国を対象とした公示地価が毎年公表されてメディアでも取り上げられるため、宅地価格の動向を知る機会は多いかもしれません。

 

一方、農地の評価額は、宅地と同様、路線価または固定資産税評価額をもとに土地の評価額を計算することになるのですが、宅地と同じではありません。

また、農地の売買事例は少ないために実勢価格を知ることは難しく、メディアでも農地価格の動向が取り上げられることは稀と言えます。

 

今回のブログでは、あまり知られていない、農地を評価する方法や農地価格についての最新の調査結果について紹介します。

 

宅地の評価

 

農地の評価や価格動向を紹介する前に、まず宅地の評価方法について確認しておきましょう。

宅地の評価は、路線価が設定されている地域では路線価方式、それ以外の地域では倍率方式によって計算します。

 

路線価方式

 

路線価は、相続や贈与によって取得した土地を評価する場合に基準となる価格で、毎年1月1日現在の価格として、国税庁から公表されています。

土地に面する道路ごとに、1平方メートル当たりの土地価格が決められています。

公示地価との比較では、路線価は公示価格の概ね8割程度になるよう設定されることになっています。

 

それぞれの宅地評価額については、路線価に土地の面積を乗じて求めることになります。

「路線価方式による土地評価額」=「路線価」×「土地の面積」

 

倍率方式

 

路線価が決められていない地域では、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて評価する方法で計算します。

倍率については、国税庁によって地域ごと土地の種類ごとに定められています。

「倍率方式による土地評価額」

=「固定資産税評価額」×(地域や土地の種類ごとに定められた)「倍率」

 

固定資産税評価額は、市町村が定める土地の評価額です。

1月1日現在の価格として定められ、3年ごとに見直されています。

この価格は、固定資産税や都市計画税、不動産取得税、登録免許税などの税金を計算するための基準として利用されています。

公示地価との比較では、固定資産税評価額は公示地価の概ね7割程度になるように設定されることになっています。

 

農地の評価

 

農地を評価する場合は、市街地や市街地の周辺にあるか、それ以外の地域にあるかによって、評価方法が異なります。

 

市街地や市街地の周辺にある農地とは?

 

税務上、農地は純農地、中間農地、市街地周辺農地、市街地農地の4種類に区分されています。

都市計画法や農地法によつ区分で分け直してみると、市街化区域内にある農地は市街地農地ということになります。

また、市街地周辺農地は、市街化調整区域内にある農地のうち第3種農地に該当しています。

つまり、単純に表現すれば、農地以外への転用が可能な農地に分類されている場合は、市街地や市街地の周辺にある農地として、特別な方法で評価することになります。

 

市街地にある農地の評価方法

 

このような農地については、宅地批准方式または倍率方式によって評価額を求めます。

宅地批准方式は、宅地として造成された農地と仮定して、宅地の価格から造成費を差引いて求める方法です。

「市街地にある農地の評価額」=「宅地の価格」―「造成費」

 

宅地の価格は、路線価が設定されている地域では路線価を用い、路線価の設定がない倍率方式の地域では近隣宅地の評価額を基に計算します。

近隣宅地の評価額は「宅地としての固定資産税評価額×宅地としての評価倍率」によって計算することになります。

なお、造成費については、地域ごとに定められた標準的な額が国税庁のホームページで公表されています。

 

市街地以外にある農地

 

市街地の周辺にある農地については、市街地農地として評価した額の80%として評価します。

一方、それ以外の地域については、倍率方式によって評価することになります。

 

農地価格の動向

 

農地価格については、(一社)全国農業会議所が毎年「田畑売買価格等に関する調査」を行って、公表しています。

この調査は、1956年以降毎年、全国で約1万1千地区を対象として、耕作目的の売買価格と転用目的の売買価格を調べているものです。

以下では、2021年3月26日に公表された、2020年の調査結果を紹介します。

 

価格と動向

 

市街地やその周辺を除く、純粋な農業地域における2020年の10当たり全国平均の農地価格は、標準的な田で113 万3千円、畑では83 万8千円でした。

農地の価格は、ピークとなった1994年を境に26年連続で低下しています。

ちなみに、2020年の農地価格を最高となった1994年と比べると、田は43.4%、畑は39.2%も下がったことになります。

 

地域別にみると、低下の幅には違いがあるものの全ての地域で低下し、特に農業が盛んな東北や九州などで低下の幅が大きくなっていることが明らかになっています。

 

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田畑価格の推移

 

低下の要因

 

宅地や商業地などと異なり、農地の価格は立地条件や経済状況、人気などに影響されにくいと言われているものの、需要が少ないことが低下要因となっているようです。

主な要因として、買い手の減少や買い控え、農産物価格の低迷、後継者不足、労働力不足などがあげられています。

少子高齢化や都市圏への集中が進み続けている現状では、農地価格の低下に歯止めをかけるのは難しいのかもしれません。

 

まとめ

 

市街地や周辺にある農地の評価額は、造成費分を差し引くことになるものの、宅地並みに路線価で評価することにはなることを覚えておきましょう。

一方、倍率方式の場合、農地の固定資産税評価額は低めに抑えられているものの、農地の倍率は思っているより高く設定されているかもしれません。

5倍、10倍前後の倍率が設定されている地域も珍しくありません。

気になる方は、国税庁ホームページの評価倍率表(一般の土地等用)を調べておくことをおすすめします。

 

相続した農地を宅地化したいときに必要な書類

相続した農地,、つまり所有する農地を宅地として利用するためには、農地法4条の許可が必要です。

許可の権限を持っているのは、4ha以下の場合は基本的に都道府県知事で、農地のある市町村の農業委員会経由で申請を行います。

許可を受けるためには、2つの基準をクリアする必要があり、申請書に添付する様々な書類でそれらを証明しなければなりません。

 

今回のブログでは、2つの基準と農地法4条許可申請請を行うときに添付が必要な書類について紹介します。

 

2つの基準

 許可を得るために必要な基準は大別して、立地基準と一般基準があり、両方を満たさなければなりません。

 

立地基準

原則として、市町村ごとに定められている農用地区域内農地、いわゆる青地については、転用が認められません。

ただし、不定期に農用地区域の見直しが行われることもあり、申請によって除外される可能性もあるため、農業委員会に確認することが大切です。

 

青地に指定されていない場合、農地の区分によって許可されるかどうかが決まることになります。

農地区分には、甲種、第1種、第2種、第3種の4種類あり、甲種または第1種に該当する場合は、原則として許可されません。

これらの区分は、集団的に存在しているかどうか、土地改良事業など公共投資の対象として農業を振興すべき地域であるかどうかなどによって分けられています。

 

許可が得られるのは、基本的に市街地区域や市街化の傾向が顕著な地域にある、第3種農地です。

ただし、第2種農地でも、ほかの土地を選定できない事情が認められる場合は許可されることもあります。

 

一般基準

立地条件を満たしていることに加え、確実に転用でき、周辺農地や営農に支障がないことを証明できなければ、許可を受けることができません。

 

一つ目の視点は、個人住宅の新築など、申請する用途に利用されることが確実かどうかです。

たとえば、住宅を新築するために必要な資金について、住宅ローンの融資を受ける場合は、融資の見込みが立たたなければ確実とはみなされません。

また、転用する面積が適正かどうかも審査の対象です。

転用する農地は、申請どおりに利用することが基本です。

 

二つ目の視点は、周辺の農地での営農に支障を及ぼさないかどうかです。

宅地などとして利用することによって、周辺の農地に日照や通風などの悪影響がないことが求められます。

また、土砂の流出や崩壊など災害を発生させる恐れがないことも重要な審査のポイントとなります。

 

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相続した農地の宅地転用

農地法第4条許可申請の添付書類

相続した農地を宅地に転用し、住宅を建設することを前提として、申請者が個人の場合に必要とされている添付書類について紹介します。

許可申請書と添付書類を提出するによって、主に一般基準を満たしていることを証明することになります。

具体的な添付書類については、ケースごとに異なることが考えられるため、それぞれの農業委員会で確認して準備するようにしてください。

 

土地に関する添付書類

土地に関しては、所有関係や位置を明らかにするために、登記事項証明書(全部事項証明書)、公図、案内図を添付します。

隣接して農地がある場合は、所有者の同意書を提出しなければなりません。

ただし、地上権や小作権、賃借権などに基づく耕作者がいる場合は、隣接する農地の耕作者について同意があることを証明できる書類が必要です。

 

工事と資金に関する添付書類

転用後の土地に建てる住宅については、平面図や立面図のほか、接する道路や用排水施設の位置を明記した配置図が必要です。

資金については、金融機関が発行する残高証明書や通帳のコピー、融資を利用する場合は融資決定通知書など融資が確実であることが証明できる書類を添付します。

 

その他の添付書類

所有者であることを証明するために、印鑑証明書のほか、必要に応じて住民票や戸籍謄本などを提出します。

また、それぞれの土地の状況に応じ、他の法令の許可を得る必要がある場合などは、その書面を添付します。

たとえば、土地改良区内にある場合は土地改良区の意見書などが必要です。

このような書類が必要になるかどうかは、それぞれの農地ごとに異なるため、農業委員会などでの確認が必要になります。

 

まとめ

農地法の許可に違反した場合や許可を得ずに転用した場合は、農地法第51条、第64条、第67条の罰則が適用される恐れがあります。

許可後の違反では、許可の取消しや条件変更、工事の停止命令、原状回復命令などの行政処分が下される恐れがあります。

許可を得ない転用については、3年以下の懲役または300万円以下の罰金もあります。

また、許可なしで住宅を建築しても、保存登記が認められないこともあり得ます。

手続きなどで不明や不安な点があれば、農地のある農業委員会や専門家に相談することをおすすめします。

グリーン住宅ポイントは相続した空き家の売却に有利!?

世界的な新型コロナウイルス蔓延のなか、リスクを避けるためにテレワークなどによる在宅勤務も定着の様相を見せています。

そのような流れの中で、首都圏から近隣の自治体や他県への転居や移住が注目を集め、メディアでも頻繁に取り上げられています。

地方にある不動産を相続した場合は、自ら利用する方法のほか、第三者に譲り渡すことができるチャンスとなるかもしれません。

 

今回のブログでは、2020年12月に創設されたグリーン住宅ポイント制度によって、空き家の購入にもポイントが付与されることなどを紹介します。

 

グリーン住宅ポイント制度

 

この制度は、経済回復を図るための一環として、一定の性能がある住宅の新築やリフォームに対してポイントが与えられるものです。

2020年12月15日から2021年10月31日までの、住宅の新築やリフォーム、既存住宅の購入契約が対象となります。

 

新築では最大40万円相当が、リフォームでは最大30万円相当のポイントがもらえ、一定要件を満たす新築住宅なら、最大100万円相当のポイントが手に入ります。。

ポイントは、商品や追加工事と交換できる金銭価値を持っています。

 

「既存住宅の購入」は空き家も対象になる

 

2019年12月14日以前に建築された住宅を、この制度の期間中に購入し、購入者が自ら居住するなら、基本的に30万ポイントがもらえます。

ただし、売買代金が税込みで100万円以上でなければ対象とならないことに注意が必要です。

 

住宅の要件は4つ。

いずれかに該当していればポイントの対象です。

☑ 空き家バンクの登録物件

☑ 東京圏の対象地域からの移住用

☑ 災害リスクが高い区域からの移住用

☑ 住宅の除却に伴って購入する住宅

 

住宅の除却に伴って住宅を購入した場合は15万ポイントもらえて、購入する住宅が4つの要件のどれかに当てはまれば、合計45万ポイントになります。

 

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グリーン住宅ポイント制度では空き家購入もポイントの対象

ポイントの利用

 

発行されたポイントは、商品と交換したり、工事や販売の事業者が行うリフォームやグレードアップの追加工事代金として利用できます。

ポイントは1ポイントが1円相当で、利用は1,000ポイント単位となります。

 

商品としては、家電やインテリア、雑貨・日用品、地場産品、食料品・飲料、福祉・介護用品など、様々なものが対象となっています。

また、追加工事としては、ワークスペースや防音設備の設置、換気や空気浄化製品の設置、菌・ウイルス対策、停電・断水対策などの防災対策などが選択できます。

 

空き家バンク

 

所有している空き家を、制度を利用して売却したい場合は、市区町村が主体となって運営している空き家バンクに登録しておく必要があります。

制度を利用する際に、空き家バンクに登録されているかどうかは、自治体が発行する証明書によって確認されることになります。

現在は登録していない空き家でも、売買契約の時点までに登録してあれば制度を利用できるため、まだ間に合います。

ただし、空き家バンクを運営していない自治体もあるため、確認しておきましょう。

 

まとめ

 

相続などで空き家を所有している場合、自身で利用する選択肢もあります。

この場合も、このグリーン住宅ポイント制度のうち、リフォームに対するポイント付与が利用できます。

要件はあるものの、基本的に最大で30万ポイントがもらえ、若者世帯や子育て世帯なら、最大で60万ポイントもらうことも可能です。

 

一方、空き家バンクに登録すると、自治体によっては空き家のリフォームや家財処分費用などに対する補助を受けられるケースもあります。

利用していない空き家を所有しているなら、この機会に利用や売却を検討してみると良いかもしれません。

 

預貯金の相続に関する遺言での注意点

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まず基本的な注意点として口座と相続相手を特定できるように明記しなければなりません

 

そして前述のように、預貯金を複数の相続人に分配して相続するときは割合を指定するのがおすすめです。

 

たとえば1,000万円の預金があるケースを考えてみましょう。
これを妻600万円、長男300万円、次男100万円に相続させたい場合、次の2つの書き方が考えられます。

 

具体的金額を記載する(妻600万円、長男300万円、次男100万円)
相続する割合を記載する(妻6/10、長男3/10、次男1/10)

預金額が1,000万円の場合、結果はどちらも同じなのでこれはどちらでもいいと思われるかもしれません。

しかし、この2つの書き方には明確な違いがあります。

そしてこのうち割合を記載する方がより適切であり、確実に遺言者の意思通りに相続させやすくなるのです。

 

金額を記載だと預金額に増減があったときトラブルになる可能性あり

遺言者が遺言書を作成した時点では、上記のケースでは預金が1,000万円でした。

でもこれが相続発生時、つまり遺言者が亡くなったときには預金額が変わっているかもしれません。

 

その場合、上記1のように単に相続する金額を記載していると問題となる可能性があります。


1,000万より増えた分、もしくは減った分についてはどうするのかという問題です。

たとえば預金額が500万円に半減していた場合、金融機関が残った500万円について遺言者の希望した割合で相続させるという保証はありません。

 

実務上1つの銀行はそのように扱ってくれても別の金融機関によっては扱いが異なる、ということも起こりうるわけです。

 

逆に預金額が1,500万円に増えていた場合はどうでしょうか。

この場合、上記1の記載方法では1,000万円分の金額しか指定していませんので残りの500万円については相続人全員の遺産分割協議が必要になります。

 

せっかく遺言書があるのに結局相続人全員が集まって協議する必要が生じ、手間がかかるうえに協議がうまくいかないこともあり得ます。

ですので、預貯金を複数人に分配する場合は割合を指定するのが適切といえるわけです

 

万一の記載漏れに対しても対策しておく

しっかりと財産目録を作ってから遺言書を作成したので記載漏れなんてありえない、と思われるかもしれません。

でも、万一のために記載漏れに対しても対策しておいた方が良いでしょう。

 

遺言書を作成した後に、新たに預貯金口座を作るかもしれません。

遺言書の中で触れられていな財産については、亡くなったあと相続人全員で協議しなければなりません

せっかく遺言書があっても手間がかかってしまいますし、いらぬトラブルを招く可能性もあります。


遺言を確実に残すなら公正証書遺言がおすすめ

遺言には主に以下の3つの種類があります。

自筆証書遺言(全文を自筆で書く)
公正証書遺言(公証人が作成)
秘密証書遺言(一般にはあまり用いられない)

このうち公正証書遺言で遺言書を作成するのがおすすめです。
他の方法にくらべて安全かつ確実に遺言内容を実行できます。

 

主なメリットは下記の通りです。

・法律のプロである公証人が作成するので要式不備で無効になる恐れがない
・公証人と証人2人が立ち会うので信ぴょう性が高くトラブルになりにくい
・原本は公証役場に保管されるので紛失・偽造・隠匿のリスクがない
・死後の検認の手続きが必要無いので相続手続きがスムーズ


費用はかかるが後々のトラブルを防止できる

公正証書遺言のデメリットとしては下記の点が挙げられます。

・費用がかかる
・遺言の内容が証人に知られてしまうのが困る場合がある

 

手数料は相続人数や相続財産の価額によってことなります。
たとえば、相続人3人にそれぞれ2,000万円ずつ相続する内容の遺言書だと作成手数料は80,000円となります。

立ち合ってもらう証人については信頼できる友人や守秘義務のある弁護士などに依頼すると安心でしょう。

 

確かに公正証書遺言を作成するにはいくらか費用がかかりますが、そのメリットはデメリットを上回ります。

せっかく遺族のことを考えて遺言書を作成しても、その遺言書がトラブルの原因になってしまっては元も子もありません。


また、死後見つけられなかったり要式不備で無効になってしまったりすると大変残念です。

公正証書遺言はこうしたリスクがないので安心なのです。

 

預貯金を特定の相続人に相続させる遺言書

相続財産は預貯金くらいなので遺言書を自分で作成してみよう。

こんなふうに思われる方も少なくないと思います。

 

とはいえ預貯金を相続するときの遺言書の書き方にもテクニックがあるのです。

遺言書の書き方によってはトラブルを防止することもできますし、逆にトラブルを招いてしまうこともあります。

それでここでは預貯金を相続する際の遺言書の書き方について解説していきます。

 

預貯金の相続をする際のトラブル

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よく知られていますが、相続が発生すると預金口座が凍結されてしまいます。

これは金融機関として被相続人の財産を守るために必要な対応です。
権利のない人への払い戻しや相続人間のトラブルに巻き込まれるのを防ぐために預貯金を凍結するわけです。

 

そうなるとお金の引き出しだけでなく預け入れ、自動引き落としもできなくなります。
相続手続きをして誰がその預貯金を相続するか確定するまで口座凍結を解除することはできません。

 

早々に凍結解除したいと思っても、そのためには遺言書や遺産分割協議書などが必要になります。

もし遺言書がない場合は遺産分割協議のために相続人全員の協力が必要になります。

とはいえ、この遺産分割協議がスムーズに進むとは限りません。
遺産の分割方法について相続人全員の合意がすんなり得られるとは限らないからです。

 

この協力が得られないとなると預貯金の凍結解除は大変難しくなってしまうわけです。

こうした事態を防ぐためにも、あらかじめ遺言書を作成し預貯金を誰にどのように相続させるのか特定しておくことが大切です。
そうすることで亡くなったあとの相続手続きを簡略してスピーディにすすめることができるのです。


預貯金を特定の相続人に相続させる遺言書の文例

では、預貯金の相続についてどのように書けばいいのか、遺言書の文例を具体的に解説していきたいと思います。

まず特定の相続人に相続させる場合の遺言書についてです。

 

預貯金を渡す場合は口座が特定できるように明記しなければいけません。

銀行であれば「銀行、支店名、口座の種類、口座番号」、ゆうちょ銀行であれば「ゆうちょ銀行、貯金の種類、記号、口座番号」を書きます。

 

そして特定の相続人に相続させる場合は金額も明記します。
すべてを相続させる場合は「全額」「すべて」などと書くといいでしょう。
利子についての記載にも注意が必要でしょう。

そして当然ながら誰に相続させるかもしっかりと相手を特定できるように書きます。

 

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預貯金を相続人たちに分配したい場合の遺言書の文例

では、預貯金を複数の相続人に分配したい場合はどうでしょうか。

この場合は少し複雑になりますが、書き方にテクニックが必要です。

 

理由はあとで説明しますが、下の文例のように、各相続人に分配する金額ではなく割合を指示するといいでしょう。

もちろん金額を指定した場合の遺言書も有効です。
とはいえ、下記のように割合を指定した方が遺言者の意思通りに相続しやすくなります。

 

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相続放棄や限定承認の期限と子どもに遺産相続をさせたくない場合の対処法とは?

今回は相続放棄や限定承認の手続きの期限や、子どもに遺産相続をさせたくない場合の対処法をご紹介します。

 

相続放棄や限定承認は期限に注意

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相続財産は資産と同時に負債も含まれます。
資産より負債の方が多いこともあり得ます。

 

この場合、そのまま相続をすると、相続人が負債を返済しなければなりません。

 

しかし、相続人が相続放棄や限定承認をすることによって、負債の返済を逃れることができます

 

ただし、相続放棄も限定承認も、決められた期限までに裁判所に申述しなければなりません。

 

期限を過ぎてしまった場合は、負債も含めて相続したものとみなされますので、注意しましょう。

 

いずれの手続きも相続が開始するまではできないので、相続が開始したら速やかに手続きができるように、元気なうちに相続人とよく話をしておきましょう。

 

 

相続放棄

家庭裁判所に相続放棄の申述をすることにより、はじめから相続人でなかったものとして扱われます

従って、負債は連帯保証も含めてすべて無関係になります。

ただし、資産についてもすべて無関係になるので、注意してください。

 

相続放棄の注意点

先順位の法定相続人が相続放棄をすると、後順位の法定相続人に相続権が移ります。

 

つまり、子どもが相続放棄をすると、直系尊属・兄弟姉妹などの後順位の人が、負債があった場合には抱え込むことになってしまうのです。

 

同様に、子どもが複数名いる場合に1人だけが相続放棄をすると、他の子どもが負債を抱え込むことになります。

 

相続放棄をするときには、自分だけではなく、順番に全員が放棄できるように他の相続人とよく相談をして、連絡をとりながら手続きをすすめましょう。

 

相続放棄の期限

相続放棄の申述は「自分に相続する財産があると判明した時点から3か月以内」にしなければなりません。

先順位の人が相続放棄をしたら、その時点から後順位の人が相続人になります。

 

後順位の人は、先順位の人が相続放棄をしてから3か月以内に、自分も相続放棄をしなければいけませんので、気をつけてください。

 

限定承認

遺産に負債が含まれていた場合に、残された資産で清算をしてしまって、プラスとなる財産が残ったらそれを相続するという方法を、限定承認といいます。

限定承認も相続放棄と同様に、家庭裁判所に申述して手続きをします。

 

限定承認の注意点

限定承認の手続きは相続人全員で行わなければなりません

 

相続人が複数いる場合に、1人でも単純承認(普通の相続)をしたい人がいると、限定承認はできなくなります。

 

また、そのつもりはなくても、相続人のうちの誰かが相続財産を一部でも処分してしまうと、単純承認をしたことになってしまいます。

 

限定承認をしたい場合は、前もって相続人全員でよく話し合っておくことをお勧めします。

 

限定承認の期限

限定承認の期限も「自分に相続する財産があると判明した時点から3か月以内」と定められています。

 

子どもに遺産相続をさせたくない場合の対処法

子どもに遺産相続をさせたくない場合、理由は2とおり考えられます。

 

1つは、子どもから暴力や侮辱を受けたとか、子どもに著しい非行があったなど、子どもに問題がある場合です。

 

もう1つは、負債が多いために、子どもが相続をすると苦労をかけてしまう場合です。

 

理由によって対処法も違うものになります。

 

子どもに問題がある場合

子どもに問題があるために相続させたくない場合は「遺言」「廃除」などの方法があります。

 

遺言

遺言書によってあらかじめ相続分を指定し、相続させたくない子どもには、相続させない旨の内容にしておく方法です。

 

子どもには遺留分があるので、もし子どもが遺留分侵害の請求を行った場合は、遺留分は子どもにわたってしまいますが、遺留分の請求がされなければ、子どもに遺産がわたることはありません。

 

廃除

廃除は民法に定められている制度で、遺留分を含む相続権をはく奪することができます。

 

家庭裁判所に推定相続人の廃除について申立をして、認められる必要があります。

 

廃除について遺言をする方法もありますが、やはり家庭裁判所に認められなければなりません。

 

 

負債が多くて子どもに迷惑をかけたくない場合

相続開始後に、子どもに相続放棄や限定承認をしてもらいましょう

自分の負債で迷惑をかけることを防げます。

 

しかし、子どもだけが相続放棄をすれば、配偶者や後順位の相続人に迷惑がかかることになります。

 

限定承認の場合は、相続人全員が揃って一緒に行う必要があります。

 

相続人は子どもだけではないことが多いので、子どもだけでなく、相続人全員と事前によく話をしておきましょう

 

まとめ

遺産相続については、人それぞれに事情も違えば心配も違うものです。

お子さまの将来が心配な方もいらっしゃることでしょう。

 

ご自分の負債が相続人の方々に降りかかるのではないかと、気がかりな方もいらっしゃるかもしれません。

 

専門家に相談してみることや、お子さまをはじめ相続人の方々とよくお話をしておくことが大切といえるでしょう。

 

【相続順位】遺産相続で子どもが受け取れる割合は?

相続について考えるとき、まず気になるのは「誰がどのくらいの割合で相続するのだろう」ということではないでしょうか。
お子さまがいらっしゃる場合には、お子さまの将来について気になることでしょう。

 

この記事では、子どもを中心に他の相続人も含めて相続順位について解説していきます。

 

それぞれのご事情にあわせて、参考にしてください。

 

 

遺産相続において子どもが受け取れる割合

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法定相続人の相続順位と相続分については、民法で定められています。
相続順位において、子は第1順位です。

 

ただし、被相続人に配偶者がいる場合は相続順位とは関係なく、配偶者は最優先で必ず相続人になります。

 

被相続人に配偶者がいる場合

被相続人に配偶者と子がいる場合は、まず配偶者が2分の1を相続します。
ですから、子の相続分は2分の1となります。

 

子が複数名いる場合は、2分の1を人数で等分します。

 

被相続人よりも子の方が先に亡くなっていた場合に、孫がいれば、子に代わって孫が相続をします。
これを代襲相続といいます。

 

配偶者がいない場合

被相続人に配偶者がいない場合とは、被相続人よりも先に配偶者が亡くなっているとか、被相続人が離婚をしていて、相続発生時に配偶者がいない場合などです。

 

配偶者はいなくて子がいる場合、子は相続財産のすべてを相続し、子が複数名いる場合は人数で等分します。

 

子が先に亡くなっていても孫がいる場合には、亡くなった子に代わって、孫が代襲相続をします。

 

 

遺産相続の相続順位

民法で定められた相続人のことを法定相続人といいます。

法定相続人は、配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹です。

 

遺産相続にあたっては、配偶者を除いて、法定相続人に相続順位が定められていて、上位の法定相続人がいない場合に、下位の法定相続人が相続することになります。

 

第1順位の相続人がいれば、第2順位、第3順位の相続人には相続権はありません。

第1順位の相続人がいない場合は、第2順位の相続人が相続します。

 

第1順位も第2順位も相続人がいない場合に、第3順位の相続人が相続します。

 

配偶者

配偶者は、相続順位の枠外の存在で、常に相続人になります。

遺産相続は、配偶者と上位の法定相続人で行い、それぞれの相続割合が定められています。

 

子(第1順位)

被相続人に子がいれば、子が相続人になります。

配偶者がいれば配偶者と子が相続人になり、配偶者がいなければ子だけが相続人です。

 

相続割合

配偶者がいる場合の相続割合は、配偶者が2分の1、子が2分の1になります。

子が複数名いる場合は、子の人数で等分します。

 

子が亡くなっている場合

前述したように、被相続人よりも子の方が先に亡くなっている場合でも、孫がいれば、孫が子に代わって相続人になります(代襲相続)。


孫がいなくてもひ孫がいれば、再代襲相続により、ひ孫が相続します。

 

直系尊属(第2順位)

被相続人に子(及び子の代襲相続人)がいないときは、第2順位の直系尊属が相続人になります。

直系尊属とは、被相続人の親、祖父母、曾祖父母のように、被相続人の血族関係をさかのぼった人をさします。

親が他界していれば祖父母、というように順にさかのぼって、健在の人がいれば相続人になります。

被相続人に配偶者がいれば、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1を相続します。

 

兄弟姉妹(第3順位)

被相続人に、第1順位の子(及び代襲相続人)も第2順位の直系尊属もいない場合、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が先に亡くなっている場合には、代襲相続はありますが、再代襲相続はありません。

被相続人に配偶者がいれば、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1を相続します。

兄弟姉妹が複数名いる場合は、人数で等分します。

 

まとめ

今回は遺産相続で子どもが受け取れる割合についてみていきました。

なにかご自分に当てはまるケースなどありましたでしょうか?

 

ご参考になれば幸いです。