相続放棄や限定承認の期限と子どもに遺産相続をさせたくない場合の対処法とは?

今回は相続放棄や限定承認の手続きの期限や、子どもに遺産相続をさせたくない場合の対処法をご紹介します。

 

相続放棄や限定承認は期限に注意

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相続財産は資産と同時に負債も含まれます。
資産より負債の方が多いこともあり得ます。

 

この場合、そのまま相続をすると、相続人が負債を返済しなければなりません。

 

しかし、相続人が相続放棄や限定承認をすることによって、負債の返済を逃れることができます

 

ただし、相続放棄も限定承認も、決められた期限までに裁判所に申述しなければなりません。

 

期限を過ぎてしまった場合は、負債も含めて相続したものとみなされますので、注意しましょう。

 

いずれの手続きも相続が開始するまではできないので、相続が開始したら速やかに手続きができるように、元気なうちに相続人とよく話をしておきましょう。

 

 

相続放棄

家庭裁判所に相続放棄の申述をすることにより、はじめから相続人でなかったものとして扱われます

従って、負債は連帯保証も含めてすべて無関係になります。

ただし、資産についてもすべて無関係になるので、注意してください。

 

相続放棄の注意点

先順位の法定相続人が相続放棄をすると、後順位の法定相続人に相続権が移ります。

 

つまり、子どもが相続放棄をすると、直系尊属・兄弟姉妹などの後順位の人が、負債があった場合には抱え込むことになってしまうのです。

 

同様に、子どもが複数名いる場合に1人だけが相続放棄をすると、他の子どもが負債を抱え込むことになります。

 

相続放棄をするときには、自分だけではなく、順番に全員が放棄できるように他の相続人とよく相談をして、連絡をとりながら手続きをすすめましょう。

 

相続放棄の期限

相続放棄の申述は「自分に相続する財産があると判明した時点から3か月以内」にしなければなりません。

先順位の人が相続放棄をしたら、その時点から後順位の人が相続人になります。

 

後順位の人は、先順位の人が相続放棄をしてから3か月以内に、自分も相続放棄をしなければいけませんので、気をつけてください。

 

限定承認

遺産に負債が含まれていた場合に、残された資産で清算をしてしまって、プラスとなる財産が残ったらそれを相続するという方法を、限定承認といいます。

限定承認も相続放棄と同様に、家庭裁判所に申述して手続きをします。

 

限定承認の注意点

限定承認の手続きは相続人全員で行わなければなりません

 

相続人が複数いる場合に、1人でも単純承認(普通の相続)をしたい人がいると、限定承認はできなくなります。

 

また、そのつもりはなくても、相続人のうちの誰かが相続財産を一部でも処分してしまうと、単純承認をしたことになってしまいます。

 

限定承認をしたい場合は、前もって相続人全員でよく話し合っておくことをお勧めします。

 

限定承認の期限

限定承認の期限も「自分に相続する財産があると判明した時点から3か月以内」と定められています。

 

子どもに遺産相続をさせたくない場合の対処法

子どもに遺産相続をさせたくない場合、理由は2とおり考えられます。

 

1つは、子どもから暴力や侮辱を受けたとか、子どもに著しい非行があったなど、子どもに問題がある場合です。

 

もう1つは、負債が多いために、子どもが相続をすると苦労をかけてしまう場合です。

 

理由によって対処法も違うものになります。

 

子どもに問題がある場合

子どもに問題があるために相続させたくない場合は「遺言」「廃除」などの方法があります。

 

遺言

遺言書によってあらかじめ相続分を指定し、相続させたくない子どもには、相続させない旨の内容にしておく方法です。

 

子どもには遺留分があるので、もし子どもが遺留分侵害の請求を行った場合は、遺留分は子どもにわたってしまいますが、遺留分の請求がされなければ、子どもに遺産がわたることはありません。

 

廃除

廃除は民法に定められている制度で、遺留分を含む相続権をはく奪することができます。

 

家庭裁判所に推定相続人の廃除について申立をして、認められる必要があります。

 

廃除について遺言をする方法もありますが、やはり家庭裁判所に認められなければなりません。

 

 

負債が多くて子どもに迷惑をかけたくない場合

相続開始後に、子どもに相続放棄や限定承認をしてもらいましょう

自分の負債で迷惑をかけることを防げます。

 

しかし、子どもだけが相続放棄をすれば、配偶者や後順位の相続人に迷惑がかかることになります。

 

限定承認の場合は、相続人全員が揃って一緒に行う必要があります。

 

相続人は子どもだけではないことが多いので、子どもだけでなく、相続人全員と事前によく話をしておきましょう

 

まとめ

遺産相続については、人それぞれに事情も違えば心配も違うものです。

お子さまの将来が心配な方もいらっしゃることでしょう。

 

ご自分の負債が相続人の方々に降りかかるのではないかと、気がかりな方もいらっしゃるかもしれません。

 

専門家に相談してみることや、お子さまをはじめ相続人の方々とよくお話をしておくことが大切といえるでしょう。

 

【相続順位】遺産相続で子どもが受け取れる割合は?

相続について考えるとき、まず気になるのは「誰がどのくらいの割合で相続するのだろう」ということではないでしょうか。
お子さまがいらっしゃる場合には、お子さまの将来について気になることでしょう。

 

この記事では、子どもを中心に他の相続人も含めて相続順位について解説していきます。

 

それぞれのご事情にあわせて、参考にしてください。

 

 

遺産相続において子どもが受け取れる割合

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法定相続人の相続順位と相続分については、民法で定められています。
相続順位において、子は第1順位です。

 

ただし、被相続人に配偶者がいる場合は相続順位とは関係なく、配偶者は最優先で必ず相続人になります。

 

被相続人に配偶者がいる場合

被相続人に配偶者と子がいる場合は、まず配偶者が2分の1を相続します。
ですから、子の相続分は2分の1となります。

 

子が複数名いる場合は、2分の1を人数で等分します。

 

被相続人よりも子の方が先に亡くなっていた場合に、孫がいれば、子に代わって孫が相続をします。
これを代襲相続といいます。

 

配偶者がいない場合

被相続人に配偶者がいない場合とは、被相続人よりも先に配偶者が亡くなっているとか、被相続人が離婚をしていて、相続発生時に配偶者がいない場合などです。

 

配偶者はいなくて子がいる場合、子は相続財産のすべてを相続し、子が複数名いる場合は人数で等分します。

 

子が先に亡くなっていても孫がいる場合には、亡くなった子に代わって、孫が代襲相続をします。

 

 

遺産相続の相続順位

民法で定められた相続人のことを法定相続人といいます。

法定相続人は、配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹です。

 

遺産相続にあたっては、配偶者を除いて、法定相続人に相続順位が定められていて、上位の法定相続人がいない場合に、下位の法定相続人が相続することになります。

 

第1順位の相続人がいれば、第2順位、第3順位の相続人には相続権はありません。

第1順位の相続人がいない場合は、第2順位の相続人が相続します。

 

第1順位も第2順位も相続人がいない場合に、第3順位の相続人が相続します。

 

配偶者

配偶者は、相続順位の枠外の存在で、常に相続人になります。

遺産相続は、配偶者と上位の法定相続人で行い、それぞれの相続割合が定められています。

 

子(第1順位)

被相続人に子がいれば、子が相続人になります。

配偶者がいれば配偶者と子が相続人になり、配偶者がいなければ子だけが相続人です。

 

相続割合

配偶者がいる場合の相続割合は、配偶者が2分の1、子が2分の1になります。

子が複数名いる場合は、子の人数で等分します。

 

子が亡くなっている場合

前述したように、被相続人よりも子の方が先に亡くなっている場合でも、孫がいれば、孫が子に代わって相続人になります(代襲相続)。


孫がいなくてもひ孫がいれば、再代襲相続により、ひ孫が相続します。

 

直系尊属(第2順位)

被相続人に子(及び子の代襲相続人)がいないときは、第2順位の直系尊属が相続人になります。

直系尊属とは、被相続人の親、祖父母、曾祖父母のように、被相続人の血族関係をさかのぼった人をさします。

親が他界していれば祖父母、というように順にさかのぼって、健在の人がいれば相続人になります。

被相続人に配偶者がいれば、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1を相続します。

 

兄弟姉妹(第3順位)

被相続人に、第1順位の子(及び代襲相続人)も第2順位の直系尊属もいない場合、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が先に亡くなっている場合には、代襲相続はありますが、再代襲相続はありません。

被相続人に配偶者がいれば、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1を相続します。

兄弟姉妹が複数名いる場合は、人数で等分します。

 

まとめ

今回は遺産相続で子どもが受け取れる割合についてみていきました。

なにかご自分に当てはまるケースなどありましたでしょうか?

 

ご参考になれば幸いです。 

【親名義の家の相続】相続時の注意点・対策方法と相続税の計算方法(2)

前回から親名義の家の相続について解説をしています。
家の評価方法や相続時の注意点・対策方法については前回の記事をご覧いただき、今回は実際の相続税の計算方法について詳しく紹介していきます。

 

家の相続税を計算する方法

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相続税を具体的に計算するためには、すべての相続財産の総額が必要だと説明しました。
また不動産の評価方法についても説明しましたので、相続財産の総額は算出できるのではないでしょうか。

 

なお、この相続財産の総額には、現金や預貯金、不動産といったプラスの財産だけでなく借金や住宅ローンなどのマイナスの財産も含まれます。
ですから、マイナスの財産があった場合は相続財産の総額が少なくなります。

 

相続税は、相続した家(不動産)単体で計算されるものではありませんが、相続税の総額を求めて、比率によって家にかかる相続税を算出することは可能です。

 

ここでは、最終的に家にかかる相続税を出すために必要な計算を順に説明していきます。

 

  1. 課税対象となる財産総額を計算する
  2. 相続税の総額を計算する
  3. 家にかかる相続税を計算する

 

(1)課税対象となる財産総額を計算する

課税対象となる財産総額は、以下の計算式で求めます。

 

課税財産総額=相続財産の総額-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の人数)

 

基礎控除額は、法定相続人の人数によって異なります。

たとえば、被相続人が亡くなって、法定相続人となるのが配偶者と3人の子どもという場合、法定相続人の人数は4人となりますから、基礎控除額は以下のようになります。

 

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人4人=5,400万円

 

このようなケースの場合、基礎控除額が5,400万円ありますから、相続財産の総額が5,400万円以下だった場合は、課税財産総額がゼロとなりますから、相続税はかかりません。
つまり、基礎控除額を超えた相続財産額に対してのみ、相続税が課税されるということです。

(2)相続税の総額を計算する

課税財産総額が算出できたら、次は相続税の総額を計算します。

 

相続税は、相続によって財産を得た人に対して課税されるものですから、財産総額に対して相続税を計算するのではなく、各相続人の取得分を基準に計算します。

 

そのためには、まず法定相続分に応じて各相続人が取得する金額を算出します。

 

各相続人の取得金額=課税財産総額×法定相続分

 

法定相続分は、被相続人との続柄によって法律で定められた相続財産の取り分の割合です。

 

たとえば被相続人の配偶者と子ども3人が法定相続人となった場合、法定相続分は配偶者1/2、子1/2(1人当たり1/6)となります。

 

各相続人の取得金額が計算できたら、「相続税の速算表」に応じて、各相続人の相続税額を算出します。
なお、ここで算出する各相続人の相続税額は、相続税の総額を求めるための算出で使用するだけで、実際に各相続人に課税される相続税とは異なりますので、ご注意ください。

 

各相続人の相続税額=各相続人の取得金額×相続税率-控除額

 

「相続税の速算表」に関しては、以下の表をご参照ください。

 

www.nta.go.jp



たとえば、取得金額が2,000万円の相続人に対する相続税額は以下のようになります。

 

各相続人の相続税額=取得金額2,000万円×相続税率15%-控除額50万円=250万円

 

以上のような方法で各相続人の相続税額を計算し、それらをすべて合計した金額が相続税の総額となります。

 

相続税の総額=各相続人の相続税額の合計

 

(3)家にかかる相続税を計算する

相続税の総額が算出できたら、最後に法定相続割合ではなく実際に相続した割合で、この相続税総額を按分します。

 

たとえば、法定相続割合が1/6の子の場合、実際に遺産分割協議などで決まった相続財産の取得割合が1/8だったときは、相続税の負担も1/8となります。

 

さらに、各相続人の相続税の計算で適用する特例などで控除がある場合は、その控除額も差し引いて最終の相続税となります。
控除の例としては、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などがあります。

 

各人の相続税額=相続税の総額×取得割合(取得金額÷課税財産総額)-各控除額

 

同じ要領で、家にかかる相続税を計算することもできます。

 

たとえば、課税財産総額が1億円、家(建物と土地)の評価額が3,000万円、法定相続人が子2人の場合、家にかかる相続税は以下のようになります。
なお、控除額はないものとします。

 

家にかかる相続税=相続税の総額770万円×家3,000万円÷課税財産総額1億円=231万円

 

まとめ

今回は2つの記事にわたり親名義の家を相続した場合の相続税について解説をさせていただきました。


家の相続では、相続税が大きくなることも多く、土地の評価や相続税の節税対策には専門知識が必要になります。
困ったときは早めに税理士等の専門家に相談するようにしましょう。

【親名義の家の相続】相続時の注意点・対策方法と相続税の計算方法(1)

 

親が亡くなって相続が発生する場合、相続財産のメインが親名義の家というケースは非常に多いです。
基本的に親の家を相続すると、相続税が課税されることになります。

 

そこで今回は2つの記事に分けて、親名義の家を相続するときの注意点・対策方法と相続税の計算方法について解説したいと思います。

では、まず親名義の家を相続する際に注意すべき点とその対策について説明していきましょう。

 

 

親名義の家を相続する場合の注意点と対策について

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親名義の家を相続する場合、現金や預貯金の相続と違って注意すべき点がありますので説明します。

 

共有相続は避ける

親名義の家が共有相続となってしまうと、後々問題が発生します。

家は相続財産の中でも金額の大きい財産ですから、相続人が複数いると、現金のようにきっちり分割することができません

 

そのため、複数の相続人の共有名義となることがあります。
しかし、共有名義となった場合、共有者全員の同意がなければ家を売却することができません。
また時間が経過すると、共有名義者が亡くなることもあります。
そうなると共有名義者の共有持分の相続が発生し、共有名義者がどんどん増えていきますので要注意です。

 

このような事態にならないように、家を相続する相続人が他の相続人に相当分の代償金を支払って単独所有とする「代償分割」の検討をおすすめします。

 

 

親が認知症になる前に

親名義の家の相続には共有相続のような問題がつきものですから、親が元気なうちに相続について話し合っておくことをおすすめします。

特定の相続人に家を継がせたい場合は、親が遺言書を残しておくという方法をとることができます。

 

ただし、親が認知症になってしまった場合は、判断能力が十分ではないとして有効な遺言書を作成することができません。
親名義の家に長男家族が同居しており親亡き後もそのまま住み続けたいというような場合は特に、親が認知症になってしまう前に相続について話し合いをしておきましょう。

 

 

配偶者居住権の検討

2020年4月1日施行の改正民法によって、配偶者居住権という権利が新設されました

この権利により、家の「所有権」と「居住権」を分割することが可能になりました。

この権利を利用することで、被相続人が亡くなった後も配偶者は自宅に住み続けることができ、分割した所有権を子が相続することができます。

この場合、配偶者が亡くなった後、「居住権」は消滅しますが、相続人である子は既に自宅の「所有権」を持っていますから、これに関して相続税が発生することはありません。

相続税節税のためには、どちらが得かという問題はケースによって異なりますので、利用を検討する場合は、相続に詳しい税理士や弁護士などの専門家に相談しましょう。

 

 

自宅の建物と土地の評価方法

相続税は、相続する財産ごとに計算していくものではありません。
相続するすべての財産の価額に対して、相続税率を乗じて算出します。

 

相続税の対象となる財産が、現金や預貯金の場合は特に時価評価する必要はありませんから、そのままの金額となります。
ですが、対象となる財産が家(建物と土地)の場合は、評価額を算定しなければなりません。

 

建物と土地では評価方法が異なりますので、ここでは建物と土地の評価方法について個別に説明します。

 

建物の評価方法

建物の評価方法は、この後説明する土地の評価方法に比べてとても簡単です。
相続税課税対象となる評価額は、以下の通りです。

 

課税評価額=固定資産税評価額

 

固定資産税評価額とは、市区町村の役場で入手することができる「固定資産税評価証明書」に記載された金額です。
また新たに申請しなくても、毎年4月に市区町村から送られてくる「固定資産税納税通知書」に記載されていますし、この書類を証明書の代用とすることもできます。
ただし、「固定資産税納税通知書」を利用する場合は、最新の書類でなければなりませんので、ご注意ください。

 

土地の評価方法

続いて土地の評価方法です。
土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式の2種類があります。

どちらの方式で評価するのかは、対象となる土地によって異なります。
路線価が設定されている土地(宅地等)の場合は、路線価方式で評価し、路線価が設定されていない土地(田畑や山林など)の場合は、倍率方式で評価します。

具体的に対象となる土地の路線価は、国税庁のホームページ内にある「路線価図・評価倍率表」で住所から検索して調べることができます。
該当する住所を評価倍率表で確認し、「路線価」となっている場合は路線価方式で、「路線価」となっておらず代わりに「1.3」などの数字が入っている場合は、倍率方式となります。

 

国税庁は、年度ごとに「路線価図・評価倍率表」を公表していますので、相続が発生した年度の路線価を調査しましょう。

 

www.rosenka.nta.go.jp

 

路線価方式

路線価とは、公道ごとに付けられた値段です。

路線価方式では、対象となる土地が接している道路の「路線価」を使って相続税の評価額を計算します。

 

国税庁のホームページの「路線価図」を見ると地図になっています。
対象となる土地が接している道路上に「125D」「80F」といった数字が記載されていますが、これが路線価です。

 

路線価が分かれば、以下のような計算式で相続税評価額を求めます。

 

課税評価額=路線価×土地の面積(㎡)

 

たとえば、200㎡の面積を持つ土地で、路線価が「80F」となっていた場合の課税評価額を計算してみましょう。
路線価「80F」と記載されている場合、1㎡あたりの路線価が80千円ということになります。
アルファベットの「F」は借地権割合を示しており、「F」の場合、借地権割合40%を意味します。
しかし借地権ではない場合は、無視して大丈夫です。

 

課税評価額=路線価(80千円)×土地の面積(200㎡)=1,600万円

 

路線価方式での土地評価は基本的にここまでとなりますが、宅地が特殊な場合は、評価額が増減します。

宅地が特殊な場合とは、土地の間口が狭く奥行きが長い、土地の形がいびつ、近隣に騒音や悪臭の問題があるなどの場合です。
このような土地の場合、売却しようとしたとき、売値も下がりますから評価が低いということなります。
ですから、相続税の評価額も減額することが可能です。

ただし、この減額要因を適用させるためには専門的な知識が必要ですから、困ったときには、相続や不動産に精通している税理士に相談してみましょう。

 

倍率方式

国税庁の評価倍率表で対象となる土地の住所を確認し、「路線価」ではなく「1.3」などの数字が入っていた場合は、倍率方式で評価額を計算します。

計算方法は簡単です。

 

課税評価額=固定資産税評価額×評価倍率

 

固定資産税評価額は、建物の評価方法で説明した通り、「固定資産税評価証明書」に記載されている土地の固定資産税評価額です。

たとえば、土地の固定資産税評価額が3,000万円となっていて、対象となる土地の評価倍率が1.3の場合は、下記のような評価額になります。

 

課税評価額=固定資産税評価額3,000万円×評価倍率1.3=3,900万円

 

まとめ

次回は、今回はご説明した親名義の家を相続した場合の家(建物と土地)の評価額をもとに、全体の相続税額を出してから各相続人が支払う相続税の計算方法について解説します。

【相続登記】登記申請書での不動産の書き方

相続登記の申請書を自分で作成する場合は、気を付けるべき点がいくつかありますが、不動産の書き方には特に注意が必要です。

 

記載した不動産の情報が登記されている内容と異なれば、不動産を特定できないため、手続きを進めることができません。

 

また、不動産が複数ある場合に記載に漏れがあれば、漏れた不動産については、別に手続きを行わなければなりません。

 

登記申請書に不動産を記載する場合は、記載事項の不足やミス、漏れをなくすことが重要です。

 

今回のブログでは、相続登記を行う場合の登記申請書での不動産の書き方について、技術的な面から紹介します。

 

相続登記申請書での不動産の書き方

 

不動産の相続登記でも、遺言によって相続する場合、遺産分割協議によって相続する場合、法定相続分で相続する場合には、それぞれ登記申請書の書き方が異なります。

 

以下では、遺産分割協議によって相続する場合を想定していますのでご注意ください。

 

登記申請書には、登記の目的や原因、相続人、相続する不動産の課税価格、登録免許税などを記載します。

これらを記載した後には、「不動産の表示」として、相続登記の対象となる不動産を個別に記載していくことになります。

 

建物は5つの要素、土地は4つの要素を記入

 

不動産を表示するために必要な要素は、建物では、所在、家屋番号、種類、構造、床面積の5つです。

一方、土地については、所在、地番、地目、地積の4つで、建物と土地では不動産の区別の仕方が異なっています。

 

登記申請書には、登記の目的とする不動産を特定できるように、登記簿などからこれらの要素を間違いなく転記しなければなりません。

 

(例)「登記申請書の不動産の表示」

建物

 所  在: ○○郡○○町○○番地

 家屋番号: 20番

 種  類: 居宅

 構  造: 木造瓦葺2階建

 床 面 積: 1階 32平方メートル

       2階 28平方メートル

 

土地

 所  在: ○○郡○○町○○字○○

 地  番: 22番

 地  目: 宅地

 地  積: 120・00平方メートル

 

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建物と土地の登記(例)

 

不動産の表示を間違いなく書く方法

 

登記申請書には、対象とする不動産を、登記簿(登記事項証明書)に記録されているとおり間違いなく転記しなければなりません。

 

以下では、相続する不動産が多数あるような場合に、転記ミスや転記漏れの防止に役立つ方法を紹介します。

 

不動産番号を記入する

 

先に紹介した建物と土地の登記(例)を見ていただくと、どちらも「不動産番号」が記されています。

不動産を表示する場合、この不動産番号を記載すると、細かな不動産の要素を記入しなくてもすむメリットがあります。

 

不動産番号を記載すれば、土地についての所在や地番、地目、地積、また、建物についての所在や家屋番号、種類、構造、床面積を省略してもかまいません。

 

このため、相続する不動産の数が多い場合などは、不動産番号だけを列挙すると、間違いや漏れなどを確認しやすく、間違いを防ぐことにつながります。

(例)

1 不動産番号 xxxxxxxxxxxxx

2 不動産番号 xxxxyxxxxzxxx

3 不動産番号 axxyxxxzxxxxb

 

登記情報提供サービスの利用

 

いわゆる登記簿と呼ばれる、不動産の全部事項証明書は紙に印刷された状態で入手しますが、登記情報提供サービスを利用すると電子ファイル(PDF)が入手できます。

 

特に、相続する不動産の数が多い場合は、このPDFファイルを利用してコピーすると、文字や数字を間違いなく転記できます。

 

なお、登記情報提供サービスは、登記所にある登記情報を、インターネットを経由してダウンロードし、パソコンで確認できる有料サービスです。

 

一般財団法人「民事法務協会」が運営しています。

登記事項証明書とは異なり証明文や公印などはありませんが、簡単な手続きで、登記されている情報をPDFファイルで入手できます。

 

相続した土地がたくさんある場合の書き方

 

とても細かい、技術的な話になりますが、相続した不動産の数が多い場合は、登記申請書が2ページ、3ページにわたってしまうことになります。

 

このような場合に、不動産を確認しやすく、申請書の枚数を減らす方法を紹介します。

 

登記申請書は、法務局で提供している「一太郎ファイル」か「Wordファイル」をダウンロードして利用する方法が簡単です。

 

申請書の様式は、受付シールを貼るスペースも設けられていて、1ページの行数や文字数を自由に変えることは困難です。

 

このため、建物の場合は無理ですが、土地の場合は、4つの要素を一行に収めて記入すると、コンパクトにスッキリ書くことができます。

 

不動産番号だけを列挙する場合に比べ、地番や地目などの具体的な情報があるため、見落とすなどの漏れが防ぎやすくなります。

 

このように、相続する土地が多い場合に、転記ミスを見つけやすく、申請書も少ないページ数で済むメリットがあります。

 

土地を一行に収める書き方の例

 

相続した土地が複数ある場合の一般的な書き方は、次のとおりです。

 

1 所在  ○○郡○○町○○字○○

地番  ○○番

地目  ○○

地積  ○○.○○㎡

 

2 所在  ○○郡○○町○○字○○

  地番  ○○番

  地目  ○○

  地積  ○○.○○㎡

 

3 所在  ・・・

 

一方、土地1筆は、次のように一行に収める書き方も可能です。

 

1 所在:○○郡○○町○○字○○  地番:○○番   地目:○○  地積:○○.○○㎡

2 所在:○○郡○○町○○字○○  地番:○○番   地目:○○  地積:○○.○○㎡

3 所在:・・・

 

まとめ

 

今回の記事は、自分で申請書を作成する場合に、間違いや漏れをなくす方法として利用できることを念頭に紹介しています。

 

自分で登記申請書を作成する場合に、記入した内容の確認を第三者に依頼できれば安心ですが、このような方がいないことも少なくありません。

 

登記申請前には、登記所に予約して事前の相談を受けることができる仕組みがありますので、利用をおすすめします。

 

ただし、限られた相談時間を有効に利用するためにも、正確な不動産の記載が大切です。

不動産の相続登記で利用できる登録免許税の免税制度

不動産を相続する場合、相続税がかかるかどうかは心配になるものの、登記でかかる税金まで思いが巡らないことが一般的です。

 

税率としては高くないものの、決して無視できる金額ではないため、相続登記の際に慌てないように把握しておくことが大切です。

 

今回のブログでは、不動産を相続する場合に、登録免許税が期間限定で免税になる制度を紹介します。

そのままにしてきた相続登記があれば、実行する良い機会にもなりそうです。

 

相続登記に関する免税措置は2種類

 

平成30(2018)年の税制改正によって、相続による不動産の所有権の移転登記については、期間限定で2種類の免税措置が設けられました。

 

数次相続に関する登録免許税

 

一つ目は、相続した方が、相続登記をしないまま亡くなってしまっている場合について、相続登記の登録免許税を免税する措置です。

たとえば、祖父名義の土地を孫が相続するような2次相続の場合に、登録免許税の負担が減ることになります。

 

少額の土地に関する登録免許税

 

二つ目は、一定の場所にある土地を相続する場合に、固定資産税評価額が10万円以下の土地なら、登録免許税が免除される措置です。

 

1次相続分の登録免許税の免税

 

たとえば、祖父A名義の土地を父Bが相続したものの、Bが相続登記をしなかった場合、孫Cが相続する際の所有者は祖父Aのままです。

 

このような場合、孫Cは祖父Aから直接の名義変更手続きを行うことができず、まず、祖父Aから父Bへ所有者を変更しなければなりません。

 

つまり、2段階の相続登記が必要になるため、、2回分の登録免許税を支払わなければならないことになってしまいます。

 

この場合の登録免許税については、期間限定で、祖父Aから死亡した父Bへの相続登記分が免税になる措置が設けられました。

 

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1次相続分の免税イメージ

免税の対象

 

平成30年4月1日から令和3年3月31日までに登記申請した場合が、免税の対象です。

通常であれば、相続による所有権の移転登記には、固定資産税評価額に対して0.4%の登録免許税が課されます。

 

少額の土地に関する登録免許税の免税

 

相続した土地について相続登記を行う場合、つまり、所有権の移転登記を行う場合に、一定の条件に当てはまる土地の登録免許税が免税となります。

 

一定の条件としては以下の3つがあり、すべての条件に該当する場合は、相続登記の登録免許税がかかりません

 

・指定されている地域にあること

・市街化区域以外であること

・土地の固定資産税評価額が10万円以下であること

 

なお、市町村の行政目的のために、相続登記の促進を特に図る必要がある土地が対象とされています。

 

具体的な地域については、それぞれの法務局や地方法務局ホームページに掲載されていますが、該当する登記所に確認することをおすすめします。

 

たとえば、東京都の場合、23区では、荒川区や江戸川区、北区、墨田区、台東区などの一部地域が指定されています。

 

また、23区以外では、青ヶ島村や大島町、奥多摩町などの全部、狛江市や昭島市、あきる野市、稲城市、青梅市、国立市など広範な地域が指定されています。

 

免税の対象

 

平成30年11月15日から令和3年3月31日までの登記申請が対象です。

なお、通常であれば、相続による土地の所有権の移転登記には、固定資産税評価額に対して0.4%の登録免許税が課されます。

 

免税になるための登記申請書の書き方

 

2種類の免税措置は、登記申請書に免税の根拠となる法律の条項を記載すれば、適用されます。

 

1次相続分の免税については、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載します。

また、少額土地の免税については、「租税特別措置法第84条の2の3第2項により⾮課税」と記載します。

 

この記載がないと、免税とならないため注意が必要です。

 

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【登記申請書の記載例】登録免許税の免税

まとめ

 

今回紹介した免税制度は、所有者不明土地が社会問題化した背景にある、相続登記を促進することが大きな目的です。

 

特に、地方にある実家で代々引き継がれてきた、農地や林地、原野といった固定資産税評価額が低い土地を相続した場合に利用価値が高い制度です。

 

期間限定の免税となっているため、これまで未登記の相続不動産がある場合に、所有者名義を変える良い機会と言えそうです。

自分で行う相続登記の登録免許税はいくらかかる?

不動産を相続して登記をする際には、登録免許税と呼ばれる税金を、現金で支払わなければなりません。

この登録免許税は、それぞれの不動産評価額によって異なるとともに、登記の種類によって税率が異なります。

 

都市部など不動産の評価額が高額な場合に、相続税を心配する方は多いのですが、登録免許税については気づかれにくい傾向があります。

 

相続の場合は、売買や贈与に比べて税率が低く設定されているものの、登録免許税が計算できれば、準備もしやすいといえます。

 

今回のブログでは、相続した不動産を登記する際にかかる、登録免許税の計算方法について紹介します。

 

登録免許税とは?

 

不動産について、所有権の保存や移転、抵当権の設定など登記に関する申請を行う場合は、法律に基づいて税金を納めなければなりません。

 

これが登録免許税と呼ばれるもので、売買や相続などによる所有権を移転する登記、建物の新築など所有権を保存する登記などが該当します。

 

原則として、登録免許税額は以下の式で計算します。

「登録免許税額」 = 「課税標準」 × 「税率」

 

課税標準

 

課税標準は、登記の種類によって「不動産の価額」「債権金額」「不動産の個数」のうち、いずれかが指定されています。.

 

相続や贈与、財産分与などによる所有権の移転登記の場合では、課税標準として、固定資産税の評価額を使用します。

 

固定資産税評価額は、固定資産税を計算する基準になる不動産ごとの金額で、それぞれの市区町村で管理されています。

 

この評価額は、市区町村の固定資産課税台帳に記載され、市区町村から毎年5月頃に送付される「納税通知書」で確認できます。

 

固定資産税評価額は、この通知書の「課税資産明細」に、「本年度価格」「○年度価格」「評価額」のような表現で記載されている金額です。

 

納税通知書が見当たらない場合は、市区町村の税務課などで、固定資産評価証明書を取得すれば確認できます。

 

なお、発行手数料として、1通あたり300円程度かかることが一般的です。

 

計算する際は、固定資産税評価額の1,000円未満の端数を切り捨てた額を当てはめます。

評価額が1,000円未満の場合は、1,000円として計算します。

 

ただし、複数の不動産を同じ申請書で申請する場合は、それぞれの評価額を合計した後で、その合計額の1,000 円に満たない額を切り捨てます。

 

なお、「固定資産税課税標準額」の記載もあり、混同しやすいため注意が必要です。

 

また、固定資産税評価額がない場合は、登記所が認定した金額になるため、不動産を管轄する登記所への確認が必要です。

 

税率

 

登録免許税の税率は、土地と建物では別々に設定されているものの、相続を原因とする登記については、いずれも1000分の4(0.4%)です。

 

ちなみに、売買や贈与などよる所有権移転の場合は、1000 分の 20(2%)ですから、相続は低率であることが分かります。

 

なお、相続による土地の所有権の移転登記の登録免許税については、平成30年度の税制改正によって免税措置が設けられています。

 

令和3年3月31日までの間に申請するもので、この免税の要件に該当する場合は、一定の割合が免税となります。

 

この免税制度については、次のブログで紹介する予定です。

 

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登録免許税の税率

税額

 

すでに確認した計算式によって計算すると、登録免許税額を計算できます。

計算式を再確認しましょう。

 

「登録免許税額」 = 「課税標準」     × 「税率」

         = 固定資産税評価額   ×  4/1000

 

たとえば、自宅を相続して、建物の評価額が1,200万円、土地の評価額が1,500万円だとすると、10万8,000円と計算できます。

 

なお、計算した結果で100円未満の端数があれば切り捨てます。

また、計算した税額が1,000円未満のときは1,000円が税額になります。

 

登録免許税の納付

 

登録免許税は、登記所に現金を納めるのではなく、税務署に収めた領収証書、または、事前に購入した税額分の収入印紙を、申請書に貼って提出します。

 

また、領収証書や収入印紙は、直接申請書に貼るのではなく、別に貼付用の白紙を用意して貼りつけ、ホチキス止めなどのうえ、契印を押します。

 

なお、収入印紙には割印や消印を押してはいけません。

 

登録免許税の額が、3万円以下や特別な場合は、収入印紙を貼って提出すれば良いこととされていますが、提出前に確認すると良いでしょう。

 

収入印紙は、登記所の庁舎内で販売していることが一般的ですが、金額によっては最寄りの郵便局などで購入する場合もあります。

 

また、収入印紙の貼付が可能な金額の上限も、登記所によって違いがあるようです。

 

まとめ

 

相続登記は、所有権移転登記、または、亡くなった方の共有持分についての持分全部移転登記を行うことになります。

 

一般的な申請手続きでは、申請書の作成や登記所に足を運ぶ手間はかかるものの、相続人自身で行うことができます。

 

司法書士に登記手続きを依頼する場合でも、自身で手続きを行う場合でも、登録免許税は不動産の評価額に応じた額がかかります。

 

いずれの方法で手続きを行うかは状況次第ですが、登録免許税が計算できれば、費用の目安がつけやすくなるのは間違いありません。

自分でできた。相続した共有不動産の持分全部移転登記

一般的に、不動産を相続する場合は所有権移転登記を行うことになりますが、共有名義の不動産については、少し異なります。

 

共有名義の不動産を相続する場合は、亡くなった方の所有権の持ち分を移転する手続きになります。

 

なお、共有名義の不動産を相続する場合は、将来的な売却処分などで共有者の承諾が必要なため、共有者の確認が不可欠でしょう。

 

先日、父親と共有名義になっていた自宅を相続することになった方から、自分で手続きできないかと相談がありました。

 

事情を伺ったところ、単純な手続きで済むと判断できたため、手続きや提出書類の入手方法などを紹介したところ、無事に登記が終わったと連絡が入りました。

 

今回のブログでは、このような共有名義の不動産を相続する方々の参考に、自分で行う場合の手続き方法について紹介します。

 

共有とは?

 

不動産を所有する方法として、単独で所有する方法のほか、夫婦や兄弟、知人同士などが共同で所有する方法があります。

 

たとえば、夫婦や兄弟で、それぞれが資金を出し合って自宅を新築する場合や、友人同士で別荘を購入する場合などが、良くあるケースです。

 

このような場合は、出した資金に応じて所有権を分け合うことが多く、分け合う所有権の割合は共有持分と呼ばれます。

 

たとえば、夫婦で半分ずつ資金を出し合った場合などは、それぞれの持分を2分の1として不動産の所有権を登記することになります。

 

この状態を共有名義の不動産と呼び、売却など不動産を処分したい場合には、共有者の承諾がないと実行できません。

 

共有者が亡くなった場合、相続人はその方の持分を相続することになるため、単独で所有している不動産とは相続登記の手続きが異なります。

 

不動産の共有持分を相続した場合は持分全部移転登記

 

相続登記は、不動産ごとに行うのではなく、亡くなった共有者一人一人について行う必要があります。

 

共有者がいる不動産でも、遺言書での指定がなければ、遺産分割協議を行って相続人が引き継ぎます。

この場合、相続登記の手続きを行うのは、共有持分を相続した相続人ということになります。

 

基本的な手続きは、所有権移転登記手続きと変わりませんが、登録免許税は、持分の割合に応じた額になるとの違いがあります。

 

また、登記申請書に記載する「登記の目的」については、「所有権移転」ではなく「〇〇持分全部移転」と記載します。

 

このとき、〇〇は亡くなった方の氏名を意味します。

 

持分全部移転登記の記載例

 

亡くなった父親の共有持分が2分の1、相談者である子の持分も2分の1として、父の持分全てを子が相続する場合の例を、図で確認しましょう。

所有権移転登記手続きと異なる部分については、黄色のマーカーで表示してあります。

 

登記の目的は、「(被相続人の氏名)持分全部移転」と記載することに注意します。

 

申請人については、相続する持分を先に記し、相続する方の氏名を記載します。

ちなみに、2名以上で相続する場合は、それぞれの共有持分を氏名の前に記入します。

 

なお、添付書類は、所有権移転登記手続きと同様の書類を準備すれば良く、共有不動産について特別なものはありません。

 

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持分全部移転登記の記載例

 

所有権移転と持分全部移転を一括で申請する方法

 

亡くなった方が単独で所有していた場合の所有権移転登記と、共有不動産の持分全部移転登記は、同じ登記申請書にまとめて記載することもできます。

 

たとえば、建物は父子で2分の1ずつ共有、土地は父親の単独で所有していた不動産を相続する場合も、申請書が1枚で済む方法です。

 

具体的な記載例を、図で確認しておきましょう。

注意すべき部分は、黄色マーカーで記したとおりで、登記の目的は「所有権移転及び(被相続人の氏名)持分全部移転」と記載します。

 

また、相続人の氏名の前には、「持分後記記載のとおり」と書いておき、不動産の表示部分で、相続する土地の持分を記載します。

 

また、建物と土地の課税価格は、それぞれ不動産の表示部分に記載し、課税価格としては合計額だけを記載します。

 

なお、土地の価格は、評価額の総額ではなく、持分割合に応じた評価額を記載します。

 

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一括申請の記載例

 

 まとめ

 

不動産を相続する場合は、一般的に所有権移転登記、また、共有不動産であれば持分全部移転登記を行います。

 

相続人の合意が得られている一般的な相続なら、それぞれの必要書類が準備できれば、自分で登記申請手続きを行うこともそれほど難しくはありません。

 

ただし、司法書士のような専門家ではありませんから、記載ミスも生じやすいため、登記申請前に法務局への相談をおすすめします。

 

申請手続きに時間や労力はかかるものの、費用を抑えることができ、亡くなった方の財産を登記できた達成感もあることでしょう。

 

なお、不安や疑問がある場合、複雑な状況などの場合は、専門家に相談することをおすすめします。

自分でできた。相続不動産の所有権移転登記

不動産の所有者が亡くなった場合は、早めの相続手続きがおすすめです。

亡くなった方名義のままにしておくと、相続関係が複雑化すれば登記手続きが難航し、売買や賃貸など不動産の有効活用に支障が生じます。

 

亡くなった方名義の不動産を相続する場合は、戸籍などの必要書類をそろえて、所有権移転登記申請手続きを行います。

 

この手続きは司法書士に依頼することが一般的ですが、登記所に何度か足を運ぶ覚悟があれば、自分でもできます。

 

必要な書類は法務局のホームページから確認でき、ダウンロードした申請書は、記入例を確認しながら作成できます。

 

今回のブログでは、相続した不動産の所有権移転登記手続きを、相続人自身で行った事例について紹介します。

 

財産放棄には遺産分割協議書が有効

 

「父親が亡くなり、自宅や農地、山林などの遺産があるものの、婚姻で実家を離れた姉妹は、遺産を放棄すると言ってくれています。」

 

「でも、どんな手続きをすれば良いのか分からないので相談したい」との依頼で始まりました。

 

 

遺産の放棄には、相続放棄と財産放棄がありますが、相続放棄を行うには、相続発生から3カ月以内に手続きが必要です。

 

亡くなったのは7カ月前で、相続放棄の期限には間に合いません。

ここで問題になるのは遺産に負債が多い場合で、相続放棄しなければ相続人が返済義務を負ってしまいます。

 

しかしながら、亡くなった方に負債はなかったため、姉妹は相続放棄の必要はなく、財産放棄の手続きで問題ないことが判明しました。

 

相続人のうち一人に相続させたい場合は、残りの相続人が財産放棄をすれば良く、このようなケースでは、遺産分割協議書が有効な解決策です。

 

遺産分割協議書で、「相続人である長男〇〇 〇〇がすべての不動産を相続する」のように整理すれば、姉妹は財産放棄したことになるのです。

 

所有権移転登記に必要な書類と手続きの方法

 

不動産を相続する場合、亡くなった方の単独名義であれば、所有権移転登記の申請手続きを行います。

ちなみに、共有名義の場合は「持分全部移転登記」を申請することになります。

 

登記申請の手続きについては、法務局のホームページで詳しく紹介されていて、必要書類や申請書、申請書の書き方も解説があります。

 

必要書類や書き方は、遺言がある場合や遺産分割による場合、法定の割合で相続する場合などで異なるため、利用の際は注意が必要です。

 

なお、このブログでは、遺産分割協議による登記申請手続きとして紹介します。

 

必要書類

 

遺産分割協議によって相続した場合、登記手続きに必要な書類は以下のとおりです。

 

1 登記申請書

2 申請書に添付する書類として、以下が必要です。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本、住民票除票など戸籍書類
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 不動産を相続する方の住民票の写し
  • 代理人が申請する場合は委任状
  • 登録免許税(通常は収入印紙)

 

登記申請手続き

 

遺産を相続する方が全員で申請する必要がありますが、委任状によって、相続人のうちの一人に手続きを委任することができます。

 

登記申請書の提出先は、土地や建物を管轄する登記所(法務局や支局)ですが、書類一式が揃った段階で相談しておくことがポイントです。

 

事前の相談は予約制で、揃えた書類をチェックしてもらうことができるため、必ず利用したい手続きです。

 

申請は、直接窓口へ持参する方法のほか、郵送する方法やオンラインで申請する方法もあります。

 

所有権移転登記申請書の書き方

 

所有権移転登記申請書は、法務局のホームページからダウンロードできます。

 

遺産分割協議書によって、相続人の一人が相続する所有権移転登記の書き方を、具体的に記載例で紹介します。

 

申請書の書き方では、登記の目的を「所有権移転」とすることが、重要なポイントです。

 

申請書への記入自体はそれほど難しくはありませんが、記載例の「⇦」で記載したような、記入の際に気を付けたい事項があります。

 

特に注意したい点は、登録免許税の計算と不動産の表示の書き方です。

登録免許税の計算方法は、法務局のホームページで詳しく説明されていますので、説明にしたがって計算しましょう。

 

また、不動産の表示については、登記簿謄本または登記情報を入手して、申請書に正確に転記することが重要です。

 

なお、登記情報提供サービスを利用して登記情報を入手する場合は、PDFファイルが提供されます。

 

このため、不動産の情報を、登記情報ファイルからコピーして申請書に貼り付ければ、入力間違いを減らすことができます。

 

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所有権移転登記の記載例

 まとめ

 

依頼者に、所有権移転登記の手続きや必要書類を説明したところ、自分で登記手続きしてみたいとのご希望でした。

 

このため、遺産分割協議書などの作成をお手伝いしたものの、申請書の作成や事前相談、窓口申請など、手続き全般を依頼者ご自身で行いました。

 

登記所へは、事前の相談と申請時、登記識別情報通知書の受取時と、合計3回足を運ぶ必要があったものの、難なく登記が完了できました。

 

大切な遺産の登記をご自身でできたという喜びと、子孫に財産を繋ぐことができるとの安心感が得られ、費用面でも満足いただく結果となりました。

相続した不動産の抵当権を抹消する手続き

一般的な不動産取引では、抵当権の付いている不動産は、通常、処分に債権者の同意が必要とされ、売買の対象となりません。

 

しかしながら、相続では、抵当権の付いていない不動産と同様、債権者の同意や承諾が必要なく、そのまま相続人に引き継がれます。

 

というのも、相続は被相続人の権利義務を包括的に承継するに過ぎず、一般的な処分とは異なることが、その理由です。

 

このため、2代あるいは3代前など古い借金についての抵当権が、設定されたまま相続されている不動産も、決して珍しくはありません。

 

しかしながら、このような場合、借金の事実や返済などはあいまいなままで、遠い将来に渡ってその不動産を活用することができません。

 

今回のブログでは、このような抵当権付きの相続不動産が抱える問題や、比較的簡単に抵当権が抹消できるケース、時間がかかるケースを紹介します。

 

抵当権のある不動産は何が問題?

 

抵当権は、借入れた金銭の担保として不動産に設定されるもので、債権者が代金回収のために、競売にかけることができる権利です。

 

不動産を相続する場合、2代・3代前に借入れた金銭の抵当権がそのまま残されているケースがありますが、相続登記手続きでは問題になりません。

 

しかしながら、このような不動産を活用したい場合に、たとえ昔に金銭が完済されている場合でも、障害になり得ることが問題です。

 

たとえば、抵当権のある不動産は、住宅ローンなど、新たに抵当権を設定するような融資を利用することができません。

 

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そのまま相続された2代・3代前の抵当権

 

融資を申し込んでも、新たに抵当権を設定することになる金融機関からは、既存の抵当権の抹消を要求されることが一般的です。

 

このため買い手がつかず、一般的な不動産取引の対象とすることが難しい状態が発生します。

 

また、相続した建物を解体して滅失登記を行いたい場合にも、抵当権があれば、債権者の同意が必要となることが一般的です。

 

相続した人の判断で勝手に滅失登記手続きを進めると、抵当権設定の契約違反に該当する恐れがあるため注意が必要です。

 

このように、抵当権付きの不動産は、処分したい場合に債権者の同意が必要で、相続人が有効活用しにくいデメリットがあるのです。

 

比較的簡単に抵当権が抹消できるケース

 

抵当権付きで相続した不動産も、売却など処分するためには、抵当権を抹消しておかなければなりません。

 

また、抵当権は、所有者が死亡しても消滅するわけではなく、不動産に付いたまま相続の対象となってしまいます。

このため、将来的な利用を考えれば、抵当権の抹消登記を済ませておく必要があります。

 

完済が証明できれば共同で抹消

 

抵当権を抹消するためには、借金を完済していることが前提条件ですが、証明できれば、抵当権者と共同で抵当権を抹消できます。

 

たとえば、住宅ローンや不動産担保ローンが完済されると、金融機関からは、弁済済証や登記識別情報、委任状など、抵当権の抹消に必要の書類が債務者に送付されます。

 

これらの書類があれば、所有者は、抵当権の抹消登記申請手続きをスムーズに行うことができるのです。

 

また、このような書類を紛失した場合でも、金融機関であれば、窓口に相談することで解決する場合が多いと言えます。

 

特別な条件に該当すれば単独で抹消できる

 

休眠抵当権と呼ばれる、明治や大正時代に設定されたまま残っているような抵当権を抹消したいときに、特例が利用できる場合があります。

 

これは、特別な条件に該当する場合について、不動産の所有者が、単独で抵当権を抹消できる制度です。

 

この特別な条件とは、抵当権者が行方不明であることが前提となり、完済の証明書がない場合は、弁済期から20年以上経過している条件が加わります。

 

また、登記されている借金額について、利息や損害金を含めて供託するとの条件を満たさなければなりません。

 

これらの条件を満たしているときは、相続人が単独で、抵当権の抹消登記を申請できます。

 

ただし、行方不明については、不在籍不在住証明書や、宛先不明で返送された封筒などの証拠が必要で、単に分からないでは認められません。

 

なお、通常は相続人を追跡できるケースが多く、相続人の調査を行い、抵当権の解除に同意を取り付ける方向で進められることが一般的です。

 

抵当権の抹消に時間がかかるケース

 

借金が完済されている場合でも、抵当権の抹消手続きを放置したまま長い年月が過ぎると、簡単に手続きができない事態が発生します。

 

また、古い抵当権についての確認や、亡くなっている抵当権者の相続人から同意を得る手続きなどが必要な場合は、かなりの時間を要します。

 

さらに、相続人からの同意が得られずに訴訟に発展するようなケースでは、時間がかかるだけでなく、かなりの費用もかかってしまいます。

 

金融機関の合併や名称変更などが発生しているケース

 

借金が完済されている場合でも、金融機関の合併や移転、代表者の変更、書類の紛失など、抵当権の抹消に必要な書類が揃わない事態も発生します。

 

このような場合は、証明などの抵当権の抹消手続きに必要な書類を新たに発行してもらわなければなりません。

 

登記簿謄本を用意して、早めに金融機関に相談することをお薦めします。

 

実際に受けた相談でも、送付された書類を紛失したケースや、合併で金融機関の名称が変わったケースがありました。

 

必要書類の発行手続きに多少の時間を要したものの、先に相続登記を終えていたことなどから、手続きは比較的スムーズに進みました。

 

個人の金銭貸借で完済の書類が発行されていないケース

 

個人間での金銭貸借で抵当権を設定している場合は、完済後に抵当権の抹消登記に必要な書類が発行されないケースもあります。

 

このような場合は、抵当権者に必要書類を作成してもらうことができれば、抵当権の抹消登記手続きを行うことができます。

 

貸主も死亡して金銭貸借の事実が確認できないケース

 

金銭貸借した当時の所有者も抵当権者も亡くなっていて、相続人からは貸借の事実さえ確認できないケースも存在します。

 

このようなケースでは、抵当権の抹消登記手続きに最も時間がかかります。

 

本来なら抵当権を相続した方に書類を作成してもらいますが、2代・3代前の抵当権者の相続人を確認することから始めるとなれば、容易なことではありません。

 

また、相続人が判明しても、借金の完済を確認するのはほぼ不可能で、抵当権の抹消に同意してもらえるかどうかが焦点になります。

 

相続人の同意が得られなければ、訴訟といった手続きを踏まなければならないケースも生じます。

 

実際に受けた相談では、相続人を探し当て、全員から抵当権の抹消に同意を得ることができたため、半年程度で抹消登記手続きを終えることができました。

 

なお、個人間の抵当権については、相続人調査や同意の取り付けなどで難航することが多いため、専門家への相談がおすすめです。

 

まとめ

 

トラブルを回避するためには、抵当権の抹消登記を忘れないことが重要で、借金を完済したら速やかに抵当権抹消登記をおすすめします。

 

また、抵当権の抹消登記をすぐに申請できないような場合は、領収書など借金を完済したことを証明する書類を大切に保管しておきましょう。

 

休眠抵当権と呼ばれるような、かなり以前の抵当権があっても、完済の証明があれば、抹消登記手続きは進めやすくなります。

 

完済の証明が残っていない抵当権を抹消したい場合や、行方の分からない抵当権者を確認したい場合などは、専門家に相談することをおすすめします。

戸籍の見方(郵送請求)

身近な方が亡くなって相続が始まると、故人や相続人の戸籍が必要になります。

 

現在の相続で一般的に見られる戸籍は、大正4年式戸籍から始まるケースが多く、その後に戸籍制度が複数回改正されています。

 

このため、昭和32年頃までに出生した方の場合は、出生から死亡までを確認するためには、4種類から5種類になるケースが多いと言えます。

 

すべて近くの市区町村で取得できれば良いのですが、他県への転居や転籍などがあれば、複数の自治体から戸籍を取得しなければなりません。

 

このような場合に役立つのが、戸籍の郵送請求です。

 

各市区町村によって異なる部分もありますが、ほぼ同様の郵送請求手続きによって、1週間から10日程度で戸籍が取得できます。

 

一般的には利用する機会が少ないものの、相続手続きなどで戸籍が必要な場合には、とても便利な方法です。

 

請求できる人

 

戸籍には、最新の戸籍以外に、除籍や改正原戸籍、戸籍の附票などがあり、それぞれに請求できる人が定められています。

 

故人のプライバシーに関わる請求ですから、請求できる人は厳格に定められているものの、委任状があれば第三者でも取得可能です。

 

単純に言えば、請求者からみて、配偶者や子、孫、父母、祖父母が記載されている戸籍や附票であれば、「本人など」として請求できます

 

戸籍

 

最新の戸籍や除籍、改製原戸籍については、次のように定められています。

 

本人など

 

戸籍法第10条による「本人等」からの請求です。

本人以外では、戸籍に記載されている配偶者や親(直系尊属)、子、孫(直系卑属)が請求できます。

 

なお、兄弟姉妹は、婚姻などで戸籍が別の場合は請求できず、第三者としての請求手続きが必要で、通常、委任状が必要となります。

 

また、取得しようとする戸籍から、このような親族関係が確認できない場合は、別途、すでに取得している戸籍などの写しを提出する必要があります。

 

第三者

 

戸籍上の配偶者、親や子孫などの「本人など」に該当しない場合は、すべて第三者として請求する手続きが必要です。

 

プライバシー保護のため、第三者からの請求については厳格な審査があり、適切な請求理由を明らかにする必要があります。

 

戸籍の附票の写し

 

戸籍の附票の写し、または戸籍の附票の除票の写しを請求できる方は、次のように定められています。

 

それぞれに記載されている本人以外では、そこに記載されている配偶者や直系尊属、直系尊属に限られます。

 

なお、取得しようとする写しで、このような親族関係が確認できない場合は、別途、すでに取得している戸籍の写しなどを提出する必要があります。

 

また、代理人も請求できますが、この場合は委任状が必要で、戸籍の第三者請求と同様、適切な請求理由を明らかにする必要があります。

 

使いみち

 

この記述は、戸籍などを過不足がないように返送してもらうために、とても重要な部分です。 

 

自己の権利行使または自己の義務履行の場合

 

この場合は、権利または義務の発生原因に加え、その内容や、戸籍の記載事項を確認する必要がある理由を明らかにしなければなりません。

 

国または地方公共団体の機関に提出する必要がある場合

 

この場合は、戸籍謄本などを提出する具体的な理由を、明らかにしなければなりません。

   

請求方法

 

市区町村それぞれのホームページで、郵送による請求方法について紹介されていますが、一般的なやり方について紹介します。

 

なお、送付先住所や、市区町村独自の規定など、詳細についてはそれぞれのホームページを確認してください。

 

必要書類を同封して郵送

 

請求時には、封筒に「請求書」「本人確認(返送先確認)書類の写し」「手数料」「切手を貼付した返信用封筒」の4種類を同封して、各市区町村の郵送請求窓口に郵送します。

 

一般的に、郵便局に依頼するか、ポストに投函してから戸籍が届くまでに、1週間から10日程度かかります。

 

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郵送による請求方法

 

 請求書

 

郵送用の「戸籍証明書等請求書」がPDFなどで提供されていることが一般的ですが、ダウンロードできない場合は、以下の内容を便せんなどに明記します。

 

1 本籍

2 筆頭者の氏名、生年月日

3 証明書の種類(個人事項証明書、抄本、身分証明書、附票が必要な場合は、必要な方の名前)

4 通数

5 使いみち(請求理由)

5 請求者の住所、氏名、筆頭者との関係、昼間連絡の取れる電話番号

 

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戸籍証明書等請求書(郵送用)

 

本人確認(兼・返送先確認)書類の写し

 

請求者の本人確認用と、返送先の確認用を兼ねて、運転免許証やマイナンバーカード、健康保険証などのコピーを同封します。

 

なお、コピーの際に、現住所と氏名の記載のある部分が含まれている必要があることに注意が必要です。

 

手数料

 

郵送請求に必要な手数料の合計金額分を、郵便局で「定額小為替」を購入して同封します。

 

なお、定額小為替には、住所や氏名の記載欄などがありますが、何も記入してはいけません。

 

また、定額小為替1枚について100円の手数料がかかり、発行日から6ヶ月以内のものでなければなりません。

 

市区町村によっては、定額小為替以外にも、普通為替や現金書留による納付を受け付けていることもあります。

 

・一般的な1通当たり「手数料」

 

一般的に、戸籍謄本などの1通あたり手数料は、全部事項証明書(戸籍謄本)や個人事項証明書(戸籍抄本)では450円です。

 

また、除籍全部事項証明書(除籍謄本)や除籍個人事項証明書(除籍抄本)、改製原戸籍謄本、改製原戸籍抄本では、750円です。

 

一方、戸籍の附票の写しや戸籍の附票の除票の写しなどは、300円です。

 

ちなみに、一般的な相続で必要な戸籍を1セット請求する場合は、手数料で4,000円から5,000円程度かかります。

 

切手を貼付した返信用封筒

 

封筒に記入する返送先は、原則として請求者の住所登録地(現住所)を記入しておきます。

 

戸籍などが返信される時の重さを考慮して、重さ制限までに少しゆとりがあるような金額の返信用切手を貼付した、返信用封筒を同封します。

 

返信用の切手代が料金不足の場合は、あらためて不足額が請求されることになり、それまで発送されないことになってしまいます。

 

なお、利用できるかどうか、事前に市区町村に確認する必要がありますが、特定記録郵便やレターパックを利用すると、配達状況が確認でき安心です。

 

その他、必要に応じて必要な書類

 

第三者からの申請の場合は、委任状が必要です。

 

なお、委任状をパソコンで作成する場合でも、本籍や筆頭者名、委任者の氏名については、必ず委任者が自署しなければなりません。

 

全文をパソコンで作成した委任状は、受付されないことがあるため注意が必要です。

 

また、請求先の市区町村で、戸籍請求者と対象者の親族関係が分かる戸籍がない場合は、あらかじめ戸籍謄本を取得して、提出する必要があります。

 

郵送請求の注意点

 

死亡届を本籍地以外の市区町村に提出した場合、亡くなった方の戸籍に反映されるまで、長い場合でおよそ2週間程度かかります。

 

このため、その期間内に郵送請求する場合は、請求書に、死亡日と届出日、届けた市区町村名を記入しておくと、スムーズな事務処理が期待できます。

 

また、金融機関での相続手続きなどの場合は、金融機関に提出する書類も同封しておくと、取得する戸籍などに過不足が生じにくくなります。

 

いずれにしても、同封する「請求書」に、できるかぎり具体的に記入しておくことがおすすめです。

 

まとめ

 

戸籍を偽りや不正な手段によって取得した場合は、30万円以下の罰金が科される刑罰がありますから、適正に請求することが重要です。

 

なお、戦時の空襲や震災などによって戸籍が消失しているような場合は、「告知書」を取得することができます。

 

告知書は、このような状況で連続する戸籍が取得できない場合に、消失が証明されることによって、間接的に戸籍が連続するであろうことが証明されるものです。

 

郵送請求は相続に係る労力や期間を短縮でき、たいへん便利な制度ですが、不安がある場合は、最寄りの市区町村や専門家などに相談することをおすすすめします。