相続前に行う、身近な人が亡くなったときに必要な手続き

身内が亡くなると、通夜や葬儀をはじめ、初七日、四十九日など、法要や遺品の整理、遺産の分割など、すべきことが様々あります。


そのなかでも、相続の有無にかかわらず、行わなければならない手続きがあります。
最初に行うべき重要な手続きは、死亡届の提出です。

 

今回は、相続手続き以外にすべき手続きや、死亡届の書き方について、紹介しましょう。

 

身近な人が亡くなったら、すぐに行う手続き

 

まず、身近な人が死亡した時に行うべきことを、まとめて確認しておきましょう。

 

■7日以内■

 

亡くなった日から7日以内に、死亡地や本籍地、住所地のいずれかの市区町村に、死亡届を提出します。
この時、同時に死体火・埋葬許可申請書も提出します。

 

年金については、速やかに社会保険事務所での受給停止手続きが必要です。
なお、国民年金の場合は、市区町村で14日以内に手続きを行います。

 

■14日以内■

 

介護保険資格喪失届、住民票の抹消届(通常は死亡届と連動)、世帯主の変更届(3人以上の世帯)を、市区町村に提出します。

 

身近な人が亡くなったら、早めに行う手続き

 

運転免許証やパスポートは、早めに警察署や都道府県の旅券課に返却します。
また、携帯電話や公共料金、プロバイダー、介護サービス、給食サービスなどの契約サービスついても、死後速やかに、それぞれのサービス契約先に連絡して解約します。

 

葬儀費用の補助、高額医療費の払戻し、年金の一時金など、遺族への支給手続きは、該当する会社や行政機関に、2年以内に請求します。
また、高額医療費の申請が可能な場合は、故人の健康保険組合や社会保険事務所、市区町村に提出します。

 

提出書類は、国民年金の死亡一時金請求書、健康保険埋葬料請求書、埋葬費の付加給付金請求書など各種あります。

支給手続きや書類は、健康保険組合などへそれぞれ照会してください。

 

市町村や社会保険事務所、健康保険組合への資格喪失届などを提出する際に、一緒に確認すると良いですね。

 

身近な人が亡くなったら、状況に応じて行う手続き

生命保険の死亡保険金や雇用保険、労災などは、それぞれで状況が異なりますが、該当する場合は手続きが必要です。

 

雇用保険を受給していた場合は受給資格者証を、1カ月以内にハローワークへ返還します。
自営業や年収2千万円以上の給与所得者であった場合は、住所地の税務署への所得税準確定申告・納税手続きを、4カ月以内に行います。

 

相続が前提になる手続きもある

 

故人が生前に所有していた不動産や動産などの相続財産のほか、契約していたサービスなども場合によっては、相続財産とみなされるものがあります。

また、名義変更には、遺産相続の手続きが前提になるものが多く、契約サービスなどを解約する場合も、未精算の料金や残債などあれば相続財産扱いです。

 

相続財産に該当するものは、遺言の執行や遺産分割協議の後で手続きを行うことになるため、ご注意ください。

 

死亡届の届出と記載事項

死亡届は、死亡を知った日から7日以内に、死亡地か本籍地、住所地のいずれかの市区町村に提出します。

手続に必要なものは、死亡届のほか、医師の死亡診断書あるいは警察による死体検案書、届出人の印鑑です。

 

なお、死亡届出書の様式は市区町村で入手しますが、死亡診断書(死体検案書)と一体です。

また、提出は葬儀社からの代理提出も可能で、国外にいる場合の提出期限は、3カ月以内とされています。

 

提出時間は、通常24時間受け付けてくれますが、埋葬許可書を発行してもらう必要がありますから、市区町村役場が開庁している時間が望ましいでしょう。

 

死亡届のポイントについては、表を参考にしてください。

 

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死亡届のポイント

 

■届出人(届出義務者等)■

 

水難や火災などで死亡者の身元が不明などのような特別な場合を除き、同居する方や家主、地主、家屋や土地の管理人は、死亡を届け出る義務があります。
これらの方なら、どなたでもかまいません。

また、届け出の義務がない方でも、親族や後見人、保佐人、補助人、任意後見人は、届け出を行うことができます。

 

なお、水難や火災などの災害で身元不明、死刑執行、刑事施設収容中に死亡して引き取り手がいない場合などは、取り調べをした官公庁や、刑事施設の代表者が、届け出の義務を負います。

 

■届出時期■

 

特別な場合を除き、届出の義務を負う方などは、死亡の事実を知った日から7日以内に届け出なければなりません。
なお、死亡地が国外の場合は、死亡の事実を知った日から3ヶ月以内に延長されます。

 

■届出地■

 

特別な場合を除き、死亡した方の本籍地または提出者の所在地が、基本的な届出地です。
なお、国外で死亡した場合は、本籍地に届け出ます。

 

以下は、特殊な場合の届出地です。


災害などによる死亡の場合は、死亡した場所に届け出ることになります。

死亡地が明らかでないときや移動中の場合は、死体が最初に発見された場所、交通機関で移動中は、死体を降ろした場所、航海日誌を備えていない船舶は最初の入港地となります。

また、死亡者の本籍が明かでない場合や、死亡者を認識することができない場合は、警察署から死亡地に報告することになります。

なお、さらに特殊な事例として、死刑の執行や、刑事施設に収容中死亡して引取人がない場合は、施設の所在地が届出地になります。

 

■記載事項■

 

死亡届に記載する事項は、戸籍法施行規則により次のように定められています。

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出典:法務省「死亡届の様式」
「届出人」

届出人については、
① 届出の年月日
② 死亡者との関係
③ 住所・本籍・生年月日
を記載し、署名・押印します。

 

「死亡した方」

死亡した方については、
① 氏名・生年月日
② 死亡年月日
③ 死亡地
④ 住所・本籍
⑤ 配偶者の有無
⑥ 死亡した時の世帯の主な仕事と死亡者の職業・産業
を記載します。

 

「死亡診断書または死体検案書」

 

なお、医師や警察などが記入する死亡診断書または死体検案書には、以下のような事項が記載されます。
① 氏名・性別・生年月日
② 死亡日時
③ 死亡した場所・場所の種類
④ 死亡原因・死亡の種類(病死、自然死、不慮の外因死、不詳など)

 

まとめ

 

身近な人が亡くなった時には、相続手続きの有無とは別に、行政機関や金融機関などへの様々な手続きが必要になります。
あらかじめ知っておけば、あわてずに済みます。

 

なお、遺産相続の手続きは、遺言がある場合とない場合では、大きく異なります。
いざという時に慌てないように、相続手続きについても、あわせて確認しておくことをおすすめします。