自分で行う相続登記の登録免許税はいくらかかる?

不動産を相続して登記をする際には、登録免許税と呼ばれる税金を、現金で支払わなければなりません。

この登録免許税は、それぞれの不動産評価額によって異なるとともに、登記の種類によって税率が異なります。

 

都市部など不動産の評価額が高額な場合に、相続税を心配する方は多いのですが、登録免許税については気づかれにくい傾向があります。

 

相続の場合は、売買や贈与に比べて税率が低く設定されているものの、登録免許税が計算できれば、準備もしやすいといえます。

 

今回のブログでは、相続した不動産を登記する際にかかる、登録免許税の計算方法について紹介します。

 

登録免許税とは?

 

不動産について、所有権の保存や移転、抵当権の設定など登記に関する申請を行う場合は、法律に基づいて税金を納めなければなりません。

 

これが登録免許税と呼ばれるもので、売買や相続などによる所有権を移転する登記、建物の新築など所有権を保存する登記などが該当します。

 

原則として、登録免許税額は以下の式で計算します。

「登録免許税額」 = 「課税標準」 × 「税率」

 

課税標準

 

課税標準は、登記の種類によって「不動産の価額」「債権金額」「不動産の個数」のうち、いずれかが指定されています。.

 

相続や贈与、財産分与などによる所有権の移転登記の場合では、課税標準として、固定資産税の評価額を使用します。

 

固定資産税評価額は、固定資産税を計算する基準になる不動産ごとの金額で、それぞれの市区町村で管理されています。

 

この評価額は、市区町村の固定資産課税台帳に記載され、市区町村から毎年5月頃に送付される「納税通知書」で確認できます。

 

固定資産税評価額は、この通知書の「課税資産明細」に、「本年度価格」「○年度価格」「評価額」のような表現で記載されている金額です。

 

納税通知書が見当たらない場合は、市区町村の税務課などで、固定資産評価証明書を取得すれば確認できます。

 

なお、発行手数料として、1通あたり300円程度かかることが一般的です。

 

計算する際は、固定資産税評価額の1,000円未満の端数を切り捨てた額を当てはめます。

評価額が1,000円未満の場合は、1,000円として計算します。

 

ただし、複数の不動産を同じ申請書で申請する場合は、それぞれの評価額を合計した後で、その合計額の1,000 円に満たない額を切り捨てます。

 

なお、「固定資産税課税標準額」の記載もあり、混同しやすいため注意が必要です。

 

また、固定資産税評価額がない場合は、登記所が認定した金額になるため、不動産を管轄する登記所への確認が必要です。

 

税率

 

登録免許税の税率は、土地と建物では別々に設定されているものの、相続を原因とする登記については、いずれも1000分の4(0.4%)です。

 

ちなみに、売買や贈与などよる所有権移転の場合は、1000 分の 20(2%)ですから、相続は低率であることが分かります。

 

なお、相続による土地の所有権の移転登記の登録免許税については、平成30年度の税制改正によって免税措置が設けられています。

 

令和3年3月31日までの間に申請するもので、この免税の要件に該当する場合は、一定の割合が免税となります。

 

この免税制度については、次のブログで紹介する予定です。

 

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登録免許税の税率

税額

 

すでに確認した計算式によって計算すると、登録免許税額を計算できます。

計算式を再確認しましょう。

 

「登録免許税額」 = 「課税標準」     × 「税率」

         = 固定資産税評価額   ×  4/1000

 

たとえば、自宅を相続して、建物の評価額が1,200万円、土地の評価額が1,500万円だとすると、10万8,000円と計算できます。

 

なお、計算した結果で100円未満の端数があれば切り捨てます。

また、計算した税額が1,000円未満のときは1,000円が税額になります。

 

登録免許税の納付

 

登録免許税は、登記所に現金を納めるのではなく、税務署に収めた領収証書、または、事前に購入した税額分の収入印紙を、申請書に貼って提出します。

 

また、領収証書や収入印紙は、直接申請書に貼るのではなく、別に貼付用の白紙を用意して貼りつけ、ホチキス止めなどのうえ、契印を押します。

 

なお、収入印紙には割印や消印を押してはいけません。

 

登録免許税の額が、3万円以下や特別な場合は、収入印紙を貼って提出すれば良いこととされていますが、提出前に確認すると良いでしょう。

 

収入印紙は、登記所の庁舎内で販売していることが一般的ですが、金額によっては最寄りの郵便局などで購入する場合もあります。

 

また、収入印紙の貼付が可能な金額の上限も、登記所によって違いがあるようです。

 

まとめ

 

相続登記は、所有権移転登記、または、亡くなった方の共有持分についての持分全部移転登記を行うことになります。

 

一般的な申請手続きでは、申請書の作成や登記所に足を運ぶ手間はかかるものの、相続人自身で行うことができます。

 

司法書士に登記手続きを依頼する場合でも、自身で手続きを行う場合でも、登録免許税は不動産の評価額に応じた額がかかります。

 

いずれの方法で手続きを行うかは状況次第ですが、登録免許税が計算できれば、費用の目安がつけやすくなるのは間違いありません。