現在も機能している里道や水路などの法定外公共物については、地方分権によって国から市町村に移譲されたため、現在では市町村が所有と管理を行っています。
このため、所有地と公道の間に里道や水路がある場合に、現在も機能しているものなら、市町村の使用許可を得れば新築や建替えが可能です。
一方、市町村の管理下にあり、公共物としての機能を失っている場合は用途廃止の申請を行う方法もあり、払い下げの可能性もあります。
しかしながら、機能を失っている法定外公共物になかには国が管理しているものもあり、この場合は市町村への申請では解決できません。
今回のブログでは、国が管理する公共物が所有地に隣接している場合に、その土地を使用したいときはどんな手続になるかについて紹介します。
「旧」法定外公共物
2000年に施行された地方分権に関する法律によって、法定外公共物は2005年3月までに国の管理を離れ、市町村に移譲されました。
しかしながら、この移譲の対象となったものは、里道や水路などの機能が現存しているもので、しかも市町村が必要としたものでした。
このため、この時点ですでに機能を有していなかった法定外公共物は、国の管理下に置かれたままになっているのです。
すでに公共物としての役目を終えていることから、旧法定外公共物と呼ばれ、財務局や財務事務所が管理する国有地です。
ちなみに、市町村の管理となったのちに機能を失ったものは、通常であればそのまま市町村が管理しています。
所有地に隣接する旧法定外公共物は購入可能
国が所有する土地のうち、普通財産に分類されているものの一部については、個人でも購入が可能です。
国有財産の購入
国有財産のうちで普通財産として分類されている土地は、特定の行政上の目的に利用されることが決まっていないもので、積極的に売却して国の収入に充てるべき財産ともされています。
ただし、誰でもすべての土地が買えるわけではありません。
単独利用が可能な未利用地
たとえば、単独で利用が可能な未利用の財産については、最低売却価格を定めたうえでの競争入札が行われます。
また、物納された土地のうち、賃借権などが設定されているものについては、権利を持っている方なら直接購入することが可能です。
単独では利用できない旧法定外公共物
機能を失っている里道や水路など旧法定外公共物のうち、単独では利用できない土地については、隣接する土地の所有者なら直接購入が可能です。
里道や水路のほか、畦畔、ため池、地番のない脱落地なども対象です。
つまり、所有地に隣接または所有地内に存在する旧法定外公共物を使用したい場合は、使用許可ではなく、購入手続きを検討することになります。
なお、国有地を貸付ける制度もありますが、対象者や利用できる期間、用途が定められているほか、対象となる物件はかなり限定的となっています。
まとめ
旧法定外公共物の購入は、土地のある地域を管轄している財務局や財務事務所が相談窓口です。
まず、市町村に法定外公共物としての機能がないことを証明してもらい、国との境界確定を行ったうえで、売買契約を締結することになります。
財務局のホームページや窓口で詳しく知ることができますが、不安な場合や時間的な余裕がない場合などは、専門家に相談してみましょう。