不動産は相続する前に売るべき?

相続財産の中で大きな割合を占めることもある不動産。価値のある不動産は売却することも可能です。 不動産は生前に売却する場合と相続した後に売却するのではどちらが良いのでしょうか。具体的に双方のメリットを確認してみましょう。

 

不動産を生前に売却するメリット

まずは不動産を生前に売却するメリットについて解説します。

①遺産分割がスムーズになる

不動産は預金などの金融資産に比べて分けにくい財産です。生前に売却して現金化しておかことで、遺産分割をスムーズに進めることが可能です。

②自分のタイミングで売却できる

相続発生後に売却する場合、納税資金を確保するために急いで売却する必要が出てくる可能性があります。 生前に売却すれば自分のタイミングで売ることができるため、買主と交渉する時間的な余裕も生まれます。

 

不動産を相続発生後に売却するメリット

不動産を相続発生後に売却するのはどのようなメリットがあるのでしょうか。

相続税評価が現金よりも低くなる

相続税評価は現金よりも低くなる傾向があります。土地の場合、路線価で評価しますが、路線は時価の8割程度で設定されています。 建物は固定資産税評価額で評価をしますが、時価の5割程度になることもあります。 不動産で相続した方が売却して現金化するよりも相続税評価を低くすることができるのです。

②小規模宅地の特例によって評価減が期待できる

小規模宅地の特例とは自宅や事業用、貸付不動産の土地の評価を一定額評価から減額できる特例です。 自宅の場合、330㎡まで80%の減額が可能です。土地の評価が5,000万円の場合、小規模宅地の特例を適用することにより1,000万円の評価となりますので、かなり大きい評価減となります。

③相続した空き家を売却した場合、譲渡所得から3,000万円控除できる

不動産を売却した場合、購入時との差額が利益となります。購入時から値上がりしている場合や購入時の価格がわからない場合は所得税が課されます。 相続した昭和56年5月31日以前に建てられた空き家の場合、譲渡所得から3,000万円控除することができます。

節税を重視するのであれば相続した後に売却する方が有利

ここまでご説明した通り、節税を重視するのであれば、不動産は相続した後に売却する方が良いでしょう。 しかし、不動産があることで、遺産分割がうまくいかないケースもありますので、一概に不動産は相続した後に売却するべきとは言えません。 相続人の関係なども考慮して検討する必要があります。