不動産で相続税を納めることができる?

相続税は原則、現金一括で支払う必要がありますが、どうしても現金で納付することが難しい場合、現物で納付する物納という方法があります。今回は物納について解説していきます。

物納の対象となる財産

物納の対象となる財産と優先順位が決まっています。物納対象財産と優先順位は以下の通りです。

第1順位:不動産、船舶、国債、地方債、上場株式等

第2順位:非上場株式

第3順位:動産

物納をするまでの流れ

まず物納の流れについて解説します。物納は以下の手順で手続きを行います。

①物納する財産を選定する

物納する財産を前述の対象となる財産から選定します。優先順位が高いものから選定する必要があります。

②物納申請書と物納関係書類の作成

物納に必ず必要となる書類は物納申請書、金銭納付を困難とする理由書、物納財産目録の3つです。 相続税の申告期限である10ヶ月までに提出が難しい場合は物納手続関係書類提出期限延長届出書をあわせて提出する必要があります。書類が完成したら管轄の税務署に提出します。

③税務署による調査

不動産などの場合、現地調査などが行われます。残置物の撤去など整備が必要な場合、必要な措置を講じる必要があります。

④物納許可または却下

税務署による判断が行われて物納許可か却下されます。物納は必ずしも許可されるわけではありません。

物納のメリット

物納をすることで、物納許可限度額までは譲渡所得が非課税になります。 親から引き継いでいくらで購入したかわからない不動産は譲渡金額の5%しか取得価格として算入できないため、売却時の譲渡所得税の負担が大きくなります。 物納を選択することで、譲渡所得は免状されますので、売却してから現金で納付するよりも有利になる可能性があります。

物納のデメリット

物納にはどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

物納が許可されるまで利子税がかかる

物納の場合、納税期限から物納による所有権移転までの間利子税がかかります。審査に要した期間については利子税の免除期間となりますが、書類の整備などにかかった期間については利子税の対象期間となりますので迅速に手続きを進める必要があります。

必ず物納が認められるわけではない

物納の申請をしても必ず物納が認められるわけではありません。万が一物納が認められなかった場合、手間がかかるうえに、申告期限ギリギリになってしまい、資金を用意する必要が出る可能性がありますので、注意が必要です。 また、却下される可能性もありますので利子税がかかったものの、現金を用意して相続税を支払う必要が出てくる可能性もあります。