貸付事業用宅地の特例とは


今回は貸付事業用宅地について解説します。

貸付事業用宅地とは

貸付事業用宅地とは被相続人が貸付事業に利用している土地のことです。

貸付事業用宅地の特例を利用することで最大200㎡まで50%減額することができます。

被相続人が貸付事業用に利用していた土地と被相続人と生計を一にしていた者が貸付事業用に利用していた土地が貸付事業用宅地として特例を受けることができます。

 

貸付事業とは不動産貸付業やアパートの土地、駐車場などがあげられます。ただし、相続開始前3年以内に新たに貸付事業として利用されていた土地は特例を適用することができません。

 

土地はアパートなどを建てて賃貸に出すことで、貸家建付地評価となり、土地の評価を下げることができます。また、建物も固定資産税評価となり、建築費用よりもかなり低い評価となります。保有している土地に建物を建てることで収益性も上がり、相続税評価を下げることで、相続税の負担を下げることになります。本特例を活用することで、さらに相続税負担を減らすことができるでしょう。

 

居住用の不動産と貸付事業用の宅地

居住用の宅地と貸付事業用の宅地がある場合、どのように対応すればよいのでしょうか。併用する場合の計算方法について解説します。

自宅の面積が330㎡以上の場合は特定居住用宅地の特例から利用する

特定居住用宅地の特例は330㎡まで80%、貸付事業用宅地の特例は200㎡まで50%減額することができます。特定居住用宅地の特例で330㎡を適用した場合、貸付事業用宅地の特例を適用することができません。特定居住用宅地の特例の方が減額割合が大きいため、同じくらいの価格の土地であれば、特定居住用宅地の特例を利用する方が有利です。

自宅の面積が330㎡に満たない場合

自宅の面積が330㎡に満たない場合、特定居住用宅地の特例と貸付事業用宅地の特例を面積に応じて併用することができます。特定居住用宅地の特例を優先し、貸付事業用宅地の特例を利用する際の限度面積を計算する方法は以下の通りです。

特定居住用宅地の特例を利用する面積×200/330+貸付事業用宅地の特例で利用する面積≥200㎡

特定事業用宅地と特定居住用宅地の特例を利用する場合、完全に併用することができ、特定事業用宅地の400㎡と特定居住用宅地の330㎡あわせて730㎡まで適用することができます。

一方で、特定居住用宅地の特例と貸付事業用宅地の特例は完全に併用することができませんので注意が必要です。

計算方法や特例の適用要件は複雑ですので、税理士に相談するようにしましょう。