不動産を共有で相続する場合の注意点

相続が発生すると悲しみに暮れる暇もなく、さまざまな手続きを期限内に終わらせる必要があります。

その中でも特に時間がかかるのが遺産分割協議でしょう。特に不動産がある場合は、誰か一人が相続すると配分に不公平が生じることがあります。その場合、持ち分均等で共有にしようと考える方も多いでしょう。しかし、共有にすると様々な問題点も発生しますので注意が必要です。

不動産の共有とは

不動産の共有とは不動産を単独で所有するのではなく、複数の人で共有で保有することです。共有で保有する場合は、持ち分が決められており、権利・義務はその持ち分に応じて発生することになります。

例えば、持ち分が

A:10分の5
B:10分の3
C:10分の2

となっている場合、不動産から生じる収益は持ち分に応じて受け取ることになりますし、固定資産税などの費用も持ち分に応じて支払うことになります。

 

不動産を共有する際の注意点

遺産分割協議の際には均等に配分できるため、便利に感じる不動産の共有ですが、不動産の共有をすることで、さまざまな課題が発生します。不動産を共有する際の注意点について解説します。

意思決定が難しい

不動産を保有しているとさまざまな意思決定が必要になります。例えば、売却をするべきか否か、収益アパートであれば、修繕をいつするのか、どの程度の規模で行うのか、など重大な決定事項が多くあります。

単独で所有している不動産であれば、一人で決めることができますが複数で共有している場合は意見が分かれる可能性もあります。共有の場合、全員で合意をしなければいけませんので、意思決定が非常に難しくなります。

義務の範囲が難しい

先ほど、持ち分に応じて義務が発生すると説明をしましたが、実際には義務の範囲を決めることは非常にむずかしいことです。収益や固定資産税など明確に分けられるものについては持ち分に応じて分けることが可能ですが、不動産周辺の草刈りや掃除、人に貸している不動産であれば、賃借人からの依頼への対応などさまざまな業務が発生します。

通常は持ち分の多い人や近くに住んでいる人にこのような負担は偏りがちです。そのため、負担が偏っている人は負担が大きいため、売却したいと考えていても共有で持っている人は特に負担がなく収益が入ってくるため、売却したくないと考えるケースも多くあります。

このように持ち分に応じて負担をするということは実は簡単ではないということも認識して共有する必要があります。