タワマン節税を考える③~タワマン節税の否認事例~

タワマン節税は非常に大きな圧縮高価がありますが、節税効果を税務署によって否認、最高裁まで争った結果税務署の判断は妥当であったという判決がでています。なぜ、税務署はタワマン節税を否認したのか解説します。

 

タワマン節税が否認されたケース

タワマン節税では国税局によって節税効果が否認されたケースがあります。

否認されたケースでは、金融機関からの借り入れによって13.8億円で取得した2つのタワマンを合計3.3億円と評価し、金融機関の借り入れ額と相殺し、評価0円としたケースです。

この例では税務署は相続人が3.3億円で評価したものを12.7億円と評価をし直し、追徴課税を請求しました。

相続人は追徴課税の取り消しを求めて訴えを起こしましたが、最高裁で相続人側が敗訴しています。

 

伝家の宝刀「財産評価基本通達第1章総則6項」

タワマン節税が否認された理由としては最高裁が伝家の宝刀といわれる財産評価基本通達第1章総則6項(以下総則6項)を認めたからだといわれています。

総則6項には以下の通り記載があります。

「この通達の定めによって評価をすることが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」

つまり、財産評価基本通達の評価方法が不適当であると国税庁長官が認めた場合、国税庁長官が決めた評価額で納税を行うというものです。

今回のケースではタワマンの原則的な評価方法である路線価と固定資産税評価で評価を行った場合、相続税が0円になるということが「著しく不適当」と判断され、評価額の見直しが命じられたのです。

この裁判では伝家の宝刀といわれ、今まで適用されていなかった総則6項を裁判所が認めたということになります。

 

節税対策の「やり過ぎ」が原因

タワーマンションは原則、財産評価基本通達に基づいて路線価と固定資産税評価額で相続時評価を行います。他のケースではこの評価方法が否認されることはほとんどありません。

今回紹介した、国税局に否認された理由は「やり過ぎ」が原因だといわれています。

否認された事例では10億円を超えるタワマンを銀行借り入れと相殺し、評価0で申告を行っています。これが認められるのであれば、すべての資産家がタワマン節税を無限に行うことによって相続税を0にすることができてしまいます。

最高裁は伝家の宝刀といわれる総則6項がどのような場合に適用されるかは明らかにされませんでしたが、「やり過ぎ」が原因となっているのは間違えないでしょう。