不動産のみ記載する内容の遺言を書く際の注意点

前回の記事でもご紹介した通り、不動産のみ記載する遺言を書くことは可能です。しかし、不動産のみ記載する遺言を書く際は注意点も多くあります。不動産のみ記載する遺言を書く際の注意点について解説します。

不動産のみ記載する遺言書を作成する場合の注意点

不動案のみ記載する遺言書を作成する場合はどのような点に注意すればよいのでしょうか。

不動産以外の財産の割合でトラブルになることがある

不動産のみ記載する遺言書を作成した場合、不動産以外の財産は遺産分割協議によって誰が相続するかを決めることになります。不動産を取得していない人としては預金など現金を多く相続することを主張することが考えられます。

不動産を除いて現金を等分にわけるべきなのか、不動産を取得した分を加味して、不動産をもらった人は現金を少なくするべきかというのは正解がありません。被相続人が事前に遺言書に記しておけば、相続人も納得する可能性が高いですが、お互いに話し合って決めても納得できないことも多いでしょう。

不動産のみ指定することでかえって他の財産を誰が引き継ぐのかトラブルになることも考えられますので、注意が必要です。

納税資金不足になる可能性がある

不動産は財産として価値があるため、相続税の対象となりますが、不動産を相続してもすぐに現金を得られるわけではありません。そのため、相続した財産だけでは納税資金不足となり、自分のお金で税金を支払う必要が出てくる可能性があります。

価値のある複数の不動産を一人に遺した場合、多額の納税が必要となる可能性がありますので、相続税をどれくらい払う必要があるのか把握して配分を決めるようにしましょう。

相続税の計算はすべての財産の評価を行う必要があり、非常に複雑な作業です。税理士など専門家に相談して間違えないようにしておきましょう。

また、不動産を維持するためには固定資産税や建物のメンテナンス費用などもかかります。納税資金だけでなく、ある程度の運営資金も残しておくようにしましょう。

遺言書を書く際は全財産を書く方が良い

法律上は不動産のみ記載する遺言書は有効です。しかし、預金など他の財産の遺し方も決めておかないと相続人間でトラブルになったり、納税資金不足になったりとさまざまな問題が発生します。相続人間でのトラブルを避けるために作成した遺言でかえってトラブルになってしまうこともあり得ます。

不動産のみ記載する遺言を作成することも可能ですが、できればすべての財産を記載した遺言書を作成するほうがよいでしょう。