預貯金を特定の相続人に相続させる遺言書

相続財産は預貯金くらいなので遺言書を自分で作成してみよう。

こんなふうに思われる方も少なくないと思います。

 

とはいえ預貯金を相続するときの遺言書の書き方にもテクニックがあるのです。

遺言書の書き方によってはトラブルを防止することもできますし、逆にトラブルを招いてしまうこともあります。

それでここでは預貯金を相続する際の遺言書の書き方について解説していきます。

 

預貯金の相続をする際のトラブル

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よく知られていますが、相続が発生すると預金口座が凍結されてしまいます。

これは金融機関として被相続人の財産を守るために必要な対応です。
権利のない人への払い戻しや相続人間のトラブルに巻き込まれるのを防ぐために預貯金を凍結するわけです。

 

そうなるとお金の引き出しだけでなく預け入れ、自動引き落としもできなくなります。
相続手続きをして誰がその預貯金を相続するか確定するまで口座凍結を解除することはできません。

 

早々に凍結解除したいと思っても、そのためには遺言書や遺産分割協議書などが必要になります。

もし遺言書がない場合は遺産分割協議のために相続人全員の協力が必要になります。

とはいえ、この遺産分割協議がスムーズに進むとは限りません。
遺産の分割方法について相続人全員の合意がすんなり得られるとは限らないからです。

 

この協力が得られないとなると預貯金の凍結解除は大変難しくなってしまうわけです。

こうした事態を防ぐためにも、あらかじめ遺言書を作成し預貯金を誰にどのように相続させるのか特定しておくことが大切です。
そうすることで亡くなったあとの相続手続きを簡略してスピーディにすすめることができるのです。


預貯金を特定の相続人に相続させる遺言書の文例

では、預貯金の相続についてどのように書けばいいのか、遺言書の文例を具体的に解説していきたいと思います。

まず特定の相続人に相続させる場合の遺言書についてです。

 

預貯金を渡す場合は口座が特定できるように明記しなければいけません。

銀行であれば「銀行、支店名、口座の種類、口座番号」、ゆうちょ銀行であれば「ゆうちょ銀行、貯金の種類、記号、口座番号」を書きます。

 

そして特定の相続人に相続させる場合は金額も明記します。
すべてを相続させる場合は「全額」「すべて」などと書くといいでしょう。
利子についての記載にも注意が必要でしょう。

そして当然ながら誰に相続させるかもしっかりと相手を特定できるように書きます。

 

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預貯金を相続人たちに分配したい場合の遺言書の文例

では、預貯金を複数の相続人に分配したい場合はどうでしょうか。

この場合は少し複雑になりますが、書き方にテクニックが必要です。

 

理由はあとで説明しますが、下の文例のように、各相続人に分配する金額ではなく割合を指示するといいでしょう。

もちろん金額を指定した場合の遺言書も有効です。
とはいえ、下記のように割合を指定した方が遺言者の意思通りに相続しやすくなります。

 

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